Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 8. First (Hellish) Prize!
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首をへし折りにきた横凪の一閃をスライディングで回避し、追い打ちの叩きつけから《タイガー・クロウ》の短距離ダッシュを応用して逃れながら、俺は全力でヤツの隙を探っていた。
現実の戦闘なら、急所への攻撃だけ弾きながら突っ込んで倒すことができる。が、ここはゲームの世界。例え急所に一発も食らってなくても、極端なことを言えば耳にしか攻撃を食らわなくても、何発も当たってHPがゼロになれば死んじまう。掠っただけでこの威力なら、直撃すれば相当量を持ってかれそうだ。だから迂闊には攻撃できない。でも、攻撃しないと、その内に躱しこそねてやられちまう。
なんとかして、この状況を切り抜けねえと。
俺が頭をフル回転させていた、その時、
「グギルィッ!!」
奇声と共に繰り出された三本の蔦による同時攻撃が、ついにリーナを捉えた。
二本の軌跡を《水月》と《閃打》で逸らしたリーナだったが、最後の一本を見切り損ねた。ガラ空きの鳩尾に、蔦による痛烈な一撃が叩き込まれる。
「?はっ……」
目を見開き、苦悶の声を漏らしながらリーナがふっ飛ばされた。HPはどうにか残ってはいるが、もう一発食らったらアウトだ。その瀕死のリーナ目掛けて、トドメといわんばかりに蔦が伸びる。
「リーナぁ!! クソ! この、ジャマなんだよッ!!」
俺は三角跳びの要領で壁を蹴って跳躍、蔦をまとめて躱してリーナに駆け寄り、迫っていた蔦を強引に腕で払いのけた。篭手をしていてもそのダメージは凄まじく、一気にHPがレッドゾーンまで削られたが、相棒の命には代えられない。
倒れたリーナを抱えて、一気にその場から後退する。
「おいリーナ、しっかりしやがれ! 寝たら即死ぬぞ!! 死んだらもうメシ食えねえんだぞ!?」
「……ぅ……そ、それは、困る。うん、大丈夫、もうやれる」
再起動してするりと俺の腕から抜け出したリーナは、《クイックビンゴ》で背後の蔦を弾き、俺の後ろに着地した。いつもならポーションで回復したいところなんだが、そんなヒマはない。一瞬でも回避行動以外のなにかをすれば、確実に攻撃を食らう。いつにないギリギリの戦況だ。
この苦境を脱する可能性がある方法は――一つだけ、ある。
二人のHPがレッドゾーンになった今だけ使える、半分賭けみたいな、SAO唯一の自己強化スキル。
「リーナ! こうなりゃイチかバチかだ!! 『死力』スキルを使って、効果時間内に一気に押し切るしかねえ!!」
この『死力』スキルだ。
こいつはプレイヤーのHPがレッドゾーンになったときにだけ使えるスキルで、コマンドを唱えて発動すると、一定時間HPを除く全パラメータを熟練度に応じた割合で上昇させる効果がある。習得するには専用のクエストで地
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