Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 8. First (Hellish) Prize!
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部屋があったの。おっかなくて放置してきたけど、部屋の造りからして間違いないわ。マップのデータも付ける。この情報と五千コル、これでどう?」
「…………むう」
「リーナ、どうすんだ?」
「……まあ、それでいい。交渉成立」
値切られたことが少し不服らしかったが、結局リーナはアスナの出した条件を飲んだ。マップデータまでもらえれば、目的地までの移動は格段に楽になる。最前線の未踏破エリアデータに五千コル分の価値があると判断したらしい。
「西エリア、か……厄介なのが湧いてきそうだな。不意打ちでも食らって最終手段を使うようなコトにならねーようにしねえと」
マップデータとコルのトレードを始めた二人を横目に、俺は少しだけ警戒心を高めていた。
◆
「死ぃぬうぅぅうううぅぅううううううっ!!」
結論から言う。
少しだけじゃ全く足んなかった。警戒マックスじゃねえと即死確定だ。
「何だよアレ何だよアレ!! あんなんアリかよ!? 耳朶に一発掠っただけでHPが三割抉れるとかありえねえだろ!!」
「一等賞、相手に、文句を、言わない! さっさと、躱して、斬り殺す、のっ!!」
ブツ切りのツッコミを返すリーナも、表情に余裕がない。手にした短剣だけでなく、四肢の手甲や足甲もフルに使ってラッシュを捌き続ける。
本来なら、前衛である俺が『挑発スキル』でリーナへラッシュが飛ぶのを防ぐんだが、今の相手はたった一体きり。しかもこの狭い部屋でこんだけ暴れられたら、俺がヘイトを集めようが集めまいが全く変わらない。迫りくる猛攻を曲刀で弾きながら、俺はその嵐の中心にいるレベル36の蔦植物の化け物『ヘルネペント・テンペスタ』を睨みつけた。
アスナの情報にあった隠し部屋、その中の宝箱を空けた瞬間に出現したコイツは俺たちを認識するなり、地面に根を張って身体を固定すると八本のぶっとい蔦を凄まじい速度で振り回し始めた。一辺十メートルもない狭い室内を縦横無人に飛び交い始めた蔦を見て、鬱陶しいからとりあえず蔦を斬り落とそうってんで俺が一歩前に出た瞬間、一本の蔦が俺に飛来。とっさに避けたものの耳に少しばかり掠り傷を負った。まあ掠るぐらいなら慣れっこ……と念のためHPバーを見た瞬間、一瞬で血の気が引いた。
満タンだったハズのHPがみるみるうちに減っていき、あっという間に七割をきっていた。いくらレベルが四つ上でもこれは反則だろ!! と思わず絶叫した直後、それに反応したかのように蔦の群れが俺たち目掛けて殺到した。
固まってたらまとめて殲滅されるのが目に見えてたんで、すぐ散開して挟み撃ちにしようとしたのはいいんだが、ネペントの攻撃は一向に止まず、近づくことすら儘ならない。
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