Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 8. First (Hellish) Prize!
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
表情にすげえ腹が立つが、負けちまったのは事実だ。どんだけウダウダ言っても、今日の昼飯の当番は俺なんだ。黙って作る他に道は無い。
「ねえ一護、もういっそお昼当番、貴方固定にしない? 勝つって分かってるじゃんけんを毎回するのって、時間の無駄だと私は思う」
「フザケんじゃねえ! 例え何百回負けようが、お前に勝つまで俺はゼッテー諦めねえからな!!」
「……愚劣」
呆れ果てたと言わんばかりのリーナの呟きをシカトして、俺はさっさとキャンプ用調理器具をアイテム欄から引っ張り出した。不本意ながら毎回使っているために、食材のストックなんかの準備も俺持ちだ。俺とリーナの間で食う量に圧倒的な差があるんで、費用は流石に割り勘だけどな。
男女間で割り勘はご法度? 男は女に奢ってやるのが甲斐性? 勘弁してくれ。コイツの昼食代まで肩代わりしてたら確実に破算だ。他人の金だからって食う量遠慮するような奴じゃねえ。むしろタダ飯だって喜んで食うに決まってる。
「……クソッ、次こそは勝ってやる……多分、アイツは俺の出す手のパターンを読んでやってんだ。まずは俺が無意識に作っちまってるそのパターンを崩して、逆にリーナの手を読む。そうすりゃもう勝率三分の一だ。そうそう負けるハズがねー……」
次の勝負に向けて大真面目にジャンケン戦法を考えながら、俺は淡々と調理を進める。一日一回の料理当番に従事させられたことで、これまた不本意ながら俺の『料理』スキルは中々の熟練度になっている。野外でやるような簡単な調理なんて容易いもんだ。あくまで、不本意ながら、だけどな!
ベジタブルスープを鍋で温めながら、ストックしておいたハムを厚切りにして、胡椒っぽいナニか(ピンミルとかいう実の粉末。見た目が赤いせいで一味唐辛子にしか見えない)を振ってから鉄板で焼き、切った野菜や調合済みのバーベキューソースと一緒に大皿に大量に盛りつける。
この皿に盛った具材を自分で黒パンに挟んで食うのが、俺等の定番の昼食だ。いつも同じなのも飽きるってことで、今回はプラスして12層の主住区で売ってたホタテとイカのトマト煮も持ってきてる。パンに合うようにってことを注意しながら日によって違う料理を付け加えるのは、けっこう面倒だ。遊子の苦労はこの比じゃねーんだろうけど、その一端をこんなトコで身をもって知ることになるなんてな。
出来上がった料理を出しておいたちゃぶ台みたいな低いテーブルに乗せ、最後に山盛りの黒パンの入ったバスケットを置けば、昼飯の準備は完了だ。
「メシ――」
「来た」
「……はえーなオイ」
出来たぞって言う前に、リーナはもう自分の定位置、すなわちスープとパンのお代わりが置いてある場所の隣を確保していた。コイツの食への執着は、もう呆れを通り越して感心するレベルだな。俺はそこま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ