Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 8. First (Hellish) Prize!
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19層迷宮区は、典型的なジャングルタイプの景観をしている。
縦横無尽に伸びる蔦が鬱蒼とした木々の間を伝い、そこかしこに沼が散見される。出てくるモンスターは植物系や獣系で、一定区画より奥にある遺跡エリアでは逆にゾンビ剣士や獣人系の人型モンスターが出てくる。
前者は連携無視で次々と殺到してくるため、回避を重視しながらカウンターをメインに。後者は攻防の切り替えなどある程度パターンが決まっている代わりにプレイヤーの戦闘パターンを読んでくるため、スイッチ中心で読みを外すスタイルが有効だ。曲がりくねった道のため見通しは悪いが、道幅は意外と広めで戦闘はしやすい。角を曲がった瞬間いきなり湧いて出る「角待ち」には要注意だ。
「オラぁ!!」
「とう」
安全エリア目前の大きな曲り道に潜んでいた「角待ち率」ナンバーワンモンスター、獣人系戦士の『アックス・オーク』に左右からのスキル同時挟撃を叩き込んだ。ムダに多いHPゲージがようやくゼロになって砕け散ったのを確認してから、俺たちは臨戦態勢を解く。安全エリアまで十メートルもない以上、もう納刀しちまっても良かったんだが、油断してサックリ刺されたら目も当てられないし。
と、一応警戒しながら進んじゃみたんだが、結局なにも起こらずに俺たちは19層迷宮区中間安全エリアに到達した。苔むした石畳の広がるバスケコート二面分ぐらいの大きさの広場の奥には、巨大なトーテムポールが二本そびえてて、あの先からダンジョン構成が遺跡エリアに切り替わることを示していた。
「……着いたな」
「うん、着いた」
「今何時だ?」
「12時36分」
「……やるか」
「うん」
短く言葉を交わし、俺たちは距離を取る。間合いは二メートルないぐらい。ちょうどお互いの武器がカチ合わないスレスレの距離だ。
俺とリーナは武器を納め、そのまま拳を強く握る。重心は低く落とし、視線は相手の拳に合わせる。一縷の隙も作らず、一瞬の隙も逃さないために。
俺たちの間に静寂が降り、緊張が最高潮に達した瞬間、
「「最初はグー! じゃんけんポン!! あいこでしょ!! あいこでしょ!!」」
「…………」
「……私の勝ち」
「今日の昼飯当番決定ジャンケン勝負」の勝敗が一瞬で決した。
「だアアアアアアアアッ!! またかよ!! おかしくねえか!?
オメーとパーティー組んで早二か月、単純計算で六十回はジャンケンしてんのに一回も俺が勝てねえとかどーなってんだよ!! いつもの勘も大概だけど、コッチはもうバグのレベルだろ!! アレか!? オメー実はコッソリ『ジャンケンスキル』習得してたとか、そーゆーオチじゃねえだろーな!?」
「そんなニッチなスキルはない。自分の弱さをスキルのせいにしないの」
得意げに鼻を鳴らすリーナの無
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