Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 7. Die Hard’s Daily Life (2)
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
降下しても起きるどころか身じろぎ一つしない背中の相棒を後ろ目に見やって、俺は独りごちつつリーナを揺らさないように、でも足早に歩きだした。
◆
「五分前行動ってカ? 見かけによらず真面目クンだナ、ベリっち」
「うるせーな、五分前じゃなくて三分前だ。あとオメー、いい加減その呼び方やめろっつの。俺の名前は苺じゃねえって何度も言ってんだろ」
「ハイハイ、朝からカリカリすんなヨ。眉間の皺が増えるゼ?」
「大きなお世話だ。ったく誰のせいで……」
翌朝、まだ太陽が昇ったばかりの、六時半ちょっと前。
まだ人通りがまばらなパルドブロムの中央広場、そのど真ん中に鎮座する時計台前のベンチで、俺は一人の情報屋と会っていた。
リーナはまだ隣のベッドで寝てたんで、そのまま宿屋に置いてきた。無理に起こしたところで、寝起きが悪いアイツは起床後一時間は役に立たない。その上、朝飯も食ってない状態だと機嫌も悪いせいで尚更使い物になりゃしない。ダンジョン内での積極性や博識っぷりとは雲泥の差とも言える有様にいい加減慣れはしたが、ちょっとは改善してくんねえかなとは思っちまう。
「マーマー、記事にしたことは悪かったっテ。今回の情報料、据え置きにしといてやっからサ」
「チッ……まあいい。んで? 連絡寄越したっつうことは、なんか新しい情報が入ったんだな?」
「まーナ」
情報屋アルゴはそう言って、リーナよりも小柄なその身体をベンチに落ち着けた。
コイツはあのスタートガイドの発行者であり、情報屋稼業以外にも情報紙や攻略本の編集、発行なんかも手広くやってる、自称『腕利き情報屋のオネーサン』だ。果たしてルキアと大差ないちっこい体躯のドコに「オネーサン」要素があるのかは知らねえが、少なくとも情報屋としての腕は確かなので、こうしてたまに情報の売り買いをしている。リーナの『極秘情報』の出処もコイツだったりするしな。
「いつもドーリ、モンスター系トラップの所在について、新しい情報が一件入っタ」
「場所は?」
「迷宮区中心部の安全エリアから北東に二キロくらい行ったトコ、そこで小部屋を見っけたって話ダ。中には木の宝箱一つダケ。情報提供者はトラップと判断してそのまま放置してきたってサ」
「いつ頃だ?」
「昨日の午後三時ダ。情報が入ったのハその二時間後。今ならまだ手つかずだろーゼ」
「そうか、上出来だ」
コイツから買う情報はスキルの他に、こういうモンスターハウスの在り処が主だ。危険地帯を虱潰しに探して回るのと、先に情報を仕入れておくのとでは効率に明確な差が出る以上、事前の情報は欠かせない。しかし、最前線に出てくるプレイヤーが少ないせいで、街の警告掲示板だけじゃあ情報量が足りない。
その点、上級プレイヤーの情
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ