Chapter 2. 『想う力は鉄より強い』
Episode 7. Die Hard’s Daily Life (2)
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か……って、一護にリーナもいたのか」
「いたらダメ?」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
「リーナの言うことをイチイチ真に受けんなよ、黙ってスルーしとけ、キリト」
ひょっこり現れたのは片手剣使いの少年剣士、キリトだ。コイツとは第一層ボス攻略以来、攻略会議やら迷宮区やらでちょくちょく顔を合わせている。リーナ曰く典型的なベータ上がりのソロプレイヤーらしく、ベータテスト時の経験を活かしたスタートダッシュで大きくレベルを上げ、安全マージンが取れる範囲でとはいえ、単身で最前線に乗り込んでくる。巷じゃ安全マージンをガン無視してレベル上げに励む俺等を『死に損ない』とか揶揄してると聞いたが、当事者たる俺からすれば、他人のフォローを一切期待できないソロ連中の死に損ないレベルもいい勝負だと思う。
「悪いが、今は一護たちのアイテムの鑑定中だ。キリトはちょっと待っててくれ」
「ああ、大丈夫だ。別に急ぎってわけじゃないし」
キリトはそう言って、俺と同じようにカウンター前の丸椅子に腰掛けた。俺から見ると、ちょうど鑑定を続行しているエギルの斜め前に座った形になる。
こうして見ると、やっぱりキリトの線の細さが際立つ。雰囲気としちゃあ現世の友人である水色に近いものがある。最も、アイツみたいに「女漁りが趣味の肉食系です」って感じは全くしないが。むしろその逆に見えるな。
「ところで一護、お前少し顔色が悪いように見えるんだけど、気のせいか?」
「晩メシの食い過ぎで気持ちわりーだけだ。だいぶマシになってきたし、すぐ治る」
「ほほー、文字通り食い倒れるくらい儲かったのか」
「まあな。リーナ、この三日で討伐コルいくら稼いだっけか?」
「一人あたり182800コル」
「へー、流石は『地獄狂』、モンスターハウス根こそぎ狩って、金も経験値もガッツリってとこだな」
「……おい、なんで知ってんだ。つかなんだ、そのウザイ名前」
「新しいお前らの渾名。記事に出てたぞ?」
ほら、とキリトが差し出したのは、不定期発行されているSAOの情報ペーパー。特にジャンルが固定されることなく、攻略情報から個人クエストの依頼、ちょっとした小ネタまで雑多に書かれた、いい暇潰しの道具だ。発行日時を見ると、三時間ほど前になっている。どうやら夕刊の時間帯に売られていたらしい。
その中のキリトが指し示した一ページ、そこには、
「『モンスタートラップ激減!? その裏には最前線で暴れる地獄狂たちの影』
――最近、ダンジョン内で目撃されるモンスタートラップの数が急激に減少している。囚われたプレイヤーを高い確率で死に追いやる恐ろしい罠が減ったことで、トラップキルされるプレイヤーの数は二ヶ月連続で大幅な減少を見せた。その原因と
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