第3話 誑かす者
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衛宮士郎先輩ですか?」
「ああ、俺だ。それで、如何したんだ?」
「そ、それが――――」
「オイオイ!逃げるこたぁねぇだろうよ、嬢ちゃん!」
「俺達とイイ事しようぜ!」
「ゲヒヒヒ」
人混みをかき分けて、体格の良さそうなプロボクサー崩れを先頭に、げすい笑みを浮かべ続ける3人組が近づいて来た。
その状況を瞬時に把握した士郎は、彼女を庇う様に前へ立つ。
それに対して、崩れの巨漢はドスの聞いた声を唸らせながら近づいて来る。
「オイオイ、坊主。痛い目見たくなきゃとっととけぇんな」
「見逃してやるからよ!」
「ゲヘヘヘ」
それに対して士郎は溜息を吐いて呟いた。
「群れないと何もできないのか愚図共が・・・」
「餓鬼が・・・!見逃してやろうと親切心で言ったつーのに、馬鹿野郎だな!」
巨漢の崩れのストレートは、まるで避けるそぶりも見せない士郎の鳩尾に入った。
この事に口ほどにも無いと言いたいのか、連れの2人がさらに笑いを漏らし、巨漢も笑った。
「ガッハハハハ!だから言ったじゃ――――」
「もう終わりか?」
「んな!?」
殴った腕を引くと、士郎はけろりと別段苦しくもなさそうだった。
「そんな馬鹿な事があるかよォオオオオオオ!!」
自分の力に自信を持っていた巨漢は、両手で士郎の顔、肩、腹などを十発ほど殴りつけていく。
そして肩で息をしながら両腕を引いても、士郎はまるで動じていないのか、つまらなそうな目線を向けたままだ。
「今度こそ終わりか?アンタの拳は蚊にも劣るな」
この現実に、顔を真っ赤に染めて額に何棒もの血管を浮き上がらせている巨漢は、怒りと羞恥に貌を彩られていた。
そうして自分の力の前に倒れない士郎に対してしびれを切らしたのか、懐からナイフを取り出した。
この事に流石に不味いのではないかと、小笠原千花は不安になっていたが、宇佐美巨人と源忠勝は別段心配する事も無く何もしようとも思わなかった。
「こぉの!クソ餓鬼がぁああああああ!!」
巨漢は士郎目掛けてナイフを突きだしたが、士郎はそれを裏拳で刃だけを上に飛ばした。
「は!?」
『え・・・』
何が起こったのか理解できない3人だったが、上に飛んだ刃が落ちてきたのを士郎がキャッチして見せるように持つと、そこでやっと気づいた3人は震えあがる。
しかしこれで終わりでは無い。
その刃を掌の中に入れてから力を入れると、あら不思議。手の力を僅かに緩めると下に落ちたのは刃の原形を留めていない鉄製の粉の様な粒だった。
それらが全て地面に落ちると、掌の中にはもう何もないと見せるようにぐーぱーぐーぱーと手を動かす。
『ヒィイイイイイイイイ!!?―
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