第3話 誑かす者
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な非常識の思いに戸惑わずに、相沢は士郎を友人でも同級生でもなく異性のような目で見続けていったのである。
そうして今に至る。
しかし相沢は知らなかった。
今日から数えて約1ヶ月半後、彼の栄華は1日で消えゆく事に。
因みに、この裁判長は冬馬だった。
−Interlude−
士郎は、藤村組の仕事をたまに手伝っている。
それが冬木や川神の夜の見回りだ。
とは言っても、この2つの市の全域を1人で見回る訳では無く、十数人がエリアごとに見回りをしている。
士郎が今日任されたのは川神市の親不孝通り近辺だ。
それにしてもいくら信頼があるからと言って、未成年の士郎に親不孝通りを担当させるのは如何なものかと問いたいものだ。
しかし当の士郎は気にした様子も無しに見回りを続けていく。
「おっ!」
「あ」
声の方に振り替えると、宇佐美代行センターの社長兼川神学園人間学の教諭である宇佐美巨人と、同じく宇佐美代行センターの社員兼川神学園2−F生徒の源忠勝の2人が居た。
士郎は気配で気づいていたので特に驚きも無く挨拶する。
「こんばんわ、宇佐美さん」
以前は放課後であろうと敬語を使っていたのだが、本人である宇佐美巨人が堅苦しくない方が良いと言う希望により、ため口とまでは行かないまでも親しい叔父のような対応に変えたのだ。
「おう!衛宮。今日の此処の担当はお前だったのか」
「ええ、忠勝も何時もお疲れさん」
「いえ、衛宮先輩もお疲れ様っす」
士郎の労いに相変わらずと言えるような仏頂面で返す忠勝だが、それが彼の照れ隠しだと宇佐美は気付いていた。何もツッコまないが。
「年なんて1つしか離れてないんだ。学校じゃないしため口聞いてくれていいんだぞ?」
「いえ!そう言うわけにはいかないっす。衛宮先輩に対してそんなこと、畏れ多いですから」
そうか?と士郎は返す。
言うまでも無く士郎は過剰なほどに謙遜するので、自分が周りからどれ程凄いと思われているのかにも気づいていないのだ。
宇佐美はそれにも気づいていたが何も言わなかった。
「そう言え――――」
『誰かーーーー!』
そこへ、各店のキャッチセールス員などを押しのけて、肩もはだけたピンク色を基調とした私服に身を纏う少女――――2−Fの小笠原千花が走って逃げて来た。
「ん?」
「小笠原千花さん・・・・・・だったかな」
「何で知ってるんだ、衛宮」
「それは学校で見かけた事があるからですよ。・・・・・・っと、大丈夫か?」
真正面から突っ込んできた小笠原千花を、士郎は自分をクッションにして優しく受け止めた。
「えっ、あっ、はい・・・・・・って、もしかして
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