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俺が愛した幻想郷
俺は愛せる? 幻想郷...
甘い香りは理解力を活性化させる
第二十七話 俺の大好きな香り
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最悪の目覚めだ。

昨日泣きまくった所為か、目蓋が腫れて上手く開かない。
一層の事このままもう一度目を閉じて寝てしまおうか… なんで起きたくないのだろう。眠くはないし、身体がダルいわけでもない… 精神的な問題なのだろう。さしずめ、

魔理沙に会いたくない。

とかそんなことだろう。

重い気持ちを抑えて布団から身体を起こそうとする。すると、俺の直ぐ真隣… つまりは同じ布団に何か当たるものがあった。
暖かい、柔らかい、いい匂いのする物体だ…

なんで俺の布団にいるんだよ…

ああ、ツッコミを入れる気力さえ俺にはそこされていない。直ぐに、ここから立ち去ろう。

行動とは裏腹に、また目から溢れそうになる液体を拭って魔理沙(そいつ)に布団をかけてから部屋を出た。

「琥珀? ご飯は食べないの?」

部屋を出ると真っ先に、そんな甘ったるい声が聞こえてきた。よく鼻を鳴らしてみれば、食欲を唆るいい匂いがしてくる。
霊夢が朝ごはんを作ったのだろう。頂きたいところではあるが… 今の俺にそんな余裕はなかった。

「ごめん…」

とだけ一言残し、家を出た。
霊夢は俺の心情を理解してくれたのか、将又聞こえていなかったのか、俺を引き止めることはしなかった。
本当にごめん。




■■■




神社にかけ立てて置いた自分のマウンテンバイクを押して昨日の朝に通った道を歩いていた。跨ってペダルを漕ぐ気力さえない。今、運転したらいつ事故に遭ってもおかしくない。それくらい気が滅入っているのだ。

特に何をすることもなく、帰って部屋の中でゴロゴロしようかなと思いながら歩くこと数分。

「浮かない面してどうした、そこの道行く少年(こはく)

聞き覚えのある、透き通った綺麗な声が聞こえた。声から察するに、何やら楽しそうだった。古き親友に話しかけるような口振りで声の持ち主は続けた。

「それ、乗らないの? 昨日は楽しそうに乗っていたけれど」

ああ、マウンテンバイクのことだろう。

「…なんか、あったんだな…?」

声の持ち主…… ルーミアは俯いた俺の顔を覗き込んでそう言った。
俺と同じくらいの背丈を持つ彼女は、中腰になり、また続けた。

「お前がどんなやつかはまだ全部は把握してない。けれど、お前は笑っていた方がいい。そうだな、私が幼女だったときのお前の顔なんて最高だったぞ」

真面目な口調で言うものの、最後の言葉だけはユーモアな口振りだった。俺を少しでも笑わせようと、ツッコミを入れさせようと思ったのだろう。

「へへへ… ごめん。気の利いたことは言えないらしい…」

ここまでしてもらって無言はできない。なんでもいいから、と考えた結果のセリフだ。苦笑いでも…いいだろう
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