第二百三十七話 魔界衆その七
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「あの者達の多くはな」
「そうでしたか、そういえば」
「多くの者が妙にだったな」
「はい、動きが鈍く」
「数だけはじゃな」
「多かったですな」
「葬った墓を調べてもみたが」
このことも命じたのだ、信長は。
「しかしな」
「その墓の中には」
「紙があっただけじゃった」
「紙ですか」
「式神がな」
「式神といいますと」
羽柴は式神と聞いて首を傾げさせた、実は彼はそうしたことについては疎い。それで暫し考えてから思い出し自分で納得した顔で言った。
「確か陰陽道の」
「思い出した」
「何度か聞きました」
「陰陽道では紙に念を入れてじゃ」
そしてとだ、信長も羽柴に話した。
「人にしたりして使うのじゃ」
「それでは」
「魔界衆も使う」
「陰陽道を」
「あの高田家にしてもな」
公卿の中にいたこの家もというのだ。
「同じじゃ。それにじゃ」
「さらにですか」
「他にも多くの者が使っていた様じゃな」
「陰陽道を」
「陰陽道といっても左道じゃが」
「陰陽道でも左になりますと」
そう聞いてだ、顔を顰めさせたのは元就だった。
「邪道になりますな」
「左道でな」
「どの様な術でもです」
そこに邪なものが加わればというのだ。
「左道となります」
「そういうことじゃな」
「ですから」
「あの者達は邪術を使う」
「まつろわぬ者達に相応しく」
「あやかしの者達が使うそれと同じじゃ」
彼等が使うその術はというのだ。
「まさにな」
「左道もですか」
「その術にも気をつけるのじゃ」
魔界衆、彼等と戦う時にはというのだ。信長は元就に対しても強く確かな声で言った。
「よいな」
「畏まりました」
「連中の数はやはり少ない」
どう考えてもというのだ。
「百万もおらぬと言ったが」
「その実は」
「もっと少ないやも知れぬ」
それはというのだ。
「式神や他の妖しげな術を使って戦う者は多いが」
「それでも」
「その数は、ですな」
「魔界衆の者達の数自体は少ない」
「左様ですな」
「このことは間違いない」
大名達にも言った言葉だ。
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