account 2 ゲームの始まり
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
主夫だねー……、私もそこまで覚えてなかったかもだよ……、何時も通り、A店で済ませるトコ、だった」
「あー、ダメだよ? 《水曜日はB店》 テストにも出るから、宜しく!」
「あはははっ!」
何度目、だろう。
また、笑う事が出来た。……昨日、兄が倒れて あんなに泣いたのに。もう、涙よりも笑みの方が多くなった。
「じゃあ、行ってきます」
「うん。行って―――」
この時、何かを 琴美は感じた。
玄関の扉を開けて、朝日の光に包まれる兄。だと言うのに、朝の光の中だと言うのに、――何か、恐ろしさを、感じた。
「ん? どうした?」
光を背に振り返る兄。
なんで、こんなに震えるのかが判らない。でも、兄は笑顔のままだった。
「う、ううん。……私、早く帰ってくる、家で待ってるから――だから、何時も通り、一緒にご飯、食べようね……? 成るべく、早く帰ってきて、ね?」
「ああ。勿論。勿論だよ」
そう言うと、兄はゆっくりと手を上げて、朝日。不気味な程、光に包まれた外へと出て行った。
――おにい、ちゃん。
得もせぬ不安が 身体中に襲ってきた。
何が、何が襲ってきているのか、口では説明出来ないけれど、何か 恐ろしい何かが起ころうとしている事は、本能的に判った。高所恐怖症の人が、高い所に来てしまうと、恐怖が倍増する様に、矛盾しているかもしれない。判っていないのに、本能的に、得体の知れない何かが、判った。
――ふふふ。ヤルナ。オレが見定メタ 男ノ 親族ダカラ 出来タノカナ?
その時、何かが聞こえた気がした。
――そうダ、今日 起コル。
――楽シイ、ゲームガ、始マルぞ。
――だが、安心、シロ。オマエハ、オマエタチは、大丈夫ダ。本当に―――運ガ 良イ。
「っっ!?」
琴美は、思わず顔を上げた。
何か、声が聞こえて来たから。
そして、この時、判った。
昨日、兄が話していたのは 他の誰かの事じゃない。……兄自身の事だったと言う事に。
その後 滞りなく学校も終わりを告げた。
何時も通りの学校、授業、周囲の皆。何も変わらない。何時も通り、皆はケータイとにらめっこだ。
――フォロアーが増えた。
――ゲームのスコアが上がった。
――新作ゲーム、配信された。
本当に毎日、飽きないな、と 表面上は 圭は思う。だけど、ちゃんと付き合いをしなければ、ならない。と言う義務感も出てきている。妹に心配をかけたくない、と言う事もだ。
以前、友達がいない事を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ