account 2 ゲームの始まり
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あれから、一日経った―――
琴美には随分と心配をかけたと思う。
それはそうだ。突然 目の前で倒れたのだから。……家族が、倒れた事に動揺しない人なんて、1人もいないだろう。少なくとも自分達はそうだ。
「おにい、ちゃん……だいじょうぶ? ほんとに、今日位は……がっこ……」
少し、涙目で語りかけてくる琴美。そんな妹を見て すべき行動、する行動は変わらない。
――いつも、変わらない。
「……大丈夫、安心して」
それは笑顔で、頭を撫でてあげる事。
歳を重ねれば、そう言う行為は煩わしさを覚え、思春期にもなれば、嫌悪を覚えるだろう。だけど、これもシスコンだと世間では思われるかもしれないだろう。だけど、以前でもあった様に、圭は守らなければならないから。
――もう、必要ない。
自分自身がそう想える瞬間まで。……新たに守ってくれる人が現れるまで。
それに、その事は 琴美自身も知っているのだから。
「あはは。それで、今日は晩御飯、何にする? たまには作るよ」
「っ……、う、うん。そ、そうね……」
琴美は目元を拭い、そして安心してもらう様に、自分も安心できる様に、必死に笑顔を作って、話す。
「まーぼーどうふ、かな? たまには、中華も、ね?」
「あはははっ。琴美は麻婆、大好きだもんね? 確かに たまには〜 だけど、基本麻婆、だもんね〜?」
「も、もうっ、他にもすきなの、あるもんっ! その……、ら、らーめんとか」
「あははは。何だかぎこちないよ?」
「もうっ! おにいちゃんっ!」
限りなく笑顔で。笑顔の朝。笑顔から始まって、笑顔で終わる。何不自由ない暮らしをして行こう、と決めたから。
だから、それは今日も同じだ。
笑顔で学校へと向こうと準備をし、出て行く時だ。
「あっ、琴美……、ちょっと良いかな?」
「ん? どうしたの?」
圭は、玄関口で腰を下ろし、靴を履いている。だから、琴美の顔は見ない。見ない状態で。
「今日、僕が買い物行って、帰ってくるから。……今日は、今日だけは 早く家に帰ってて貰えない……、かな?」
少し、その言葉の中には 何か切実なものが、いつもの兄ではなかった。先程までの笑顔の兄じゃなかった。
そして、表情を見なくても判る。凄く、心配をしていること。そして、その理由も――。
「うんっ、りょーかいっ。ちゃんと買ってきてね? メール、するからね!」
「……うん。任せて。学校終わるのが、17時、だから―――」
頭の中で、情報を整理する。
「B店、だね。うん。今日は水曜日だし、それに ちょっと学校が遅れて、店につくのが遅れたら、万々歳。18時を超えたら、更に半額シールで……」
「おー、流石
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