第1章:平穏にさよなら
第24話「それから」
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..ふあ....さすがに眠いかな....。」
「そうね。私もそろそろ寝ようかしら?」
緋雪があくびをしたので、会話を切り上げてそれぞれ寝室に向かう。
...あ、ちゃんと歯磨きとやらとかもしたわよ?
「布団はここから.....んしょっと...。」
自分の部屋となった和室の押し入れから布団を出して敷く。
「...布団で寝るのなんて、何十年ぶりかしら...。」
布団に入りながら私はそう言う。....人里で暮らさなくなって以来、一度も寝てないわね。
「......薔薇姫.....。」
いつも、寝る時も一緒にいた薔薇姫。でも、今はもういない。
「...薔薇姫。私、新しい家族ができたのよ?...でも、寂しいわ。なんでかしらね....。」
ポツ、ポツ、と涙が落ちる。やっぱり、親友がいなくなったのは、すぐに割り切れる訳じゃない。...今まで、ずっとそうだった。
「....ふふ...江戸の時まで、ずっと親友だなんて認めなかったのに、今はすっかり認めてるわね...。」
苦笑い気味にそう言って、今度はさらに涙が溢れてくる。
「....やっぱり、寂しいよぉ.....!」
きっと、司の精神保護の術がなければ、今すぐにでも私は自殺して幽世に還っていただろう。そこまで、私は寂しかった。
多分、優輝や緋雪がいても、しばらくは寂しいままだろう....。
―――〈...管制人格の覚醒を確認。これより、最適化を開始します。〉
―――〈最適化、10%、20%.......100%。〉
―――〈最適化完了。管制人格を表面化します。〉
―――〈これより“生命融合型ユニゾンデバイス”起動します。〉
「.....ん....。」
ふかふかな感触に埋もれながら、私は目を覚ます。
「...そっか、私、優輝の家に....。」
いつもの野宿などと違って寝心地が良かったためか、すっきりとした目覚めだった。
「ん....起きないと....。」
そう言って私は体を起こして...。
「おはようかやちゃん!」
「......えっ?」
いきなり挨拶され、その声に思わず振り向く。
「....薔薇...姫.....?」
―――...なぜなら、その声の主は、死んだはずの薔薇姫だったから。
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