第1章:平穏にさよなら
第24話「それから」
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でも悲しく、恐い事だって言うのはわかる。緋雪が言った見捨てる...つまり、私からいなくなる場合なんかは、さらに恐いのだろうと、容易に想像できた。
「....ごめんなさい。かやのひめさんが神様だからか、頼りたくなっちゃって...色々と押し留めていた気持ちが溢れちゃった...。」
「.......そうなの...。」
おもむろに緋雪を少し抱き寄せ、撫でる。
「か、かやのひめさん!?」
「....貴女の寂しさ。私にも伝わってきたわ。...優輝にはこれ以上不安や負担を掛けたくなかったから、ずっと押し留めていたのよね?...今は、そうしなくていいわよ...。」
二人共、私が薔薇姫を喪った時は私によく気に掛けてくれた。...だから、今度は私が緋雪を慰めなきゃね...。
「...うん....。」
「(優輝も緋雪も、魂は澄んでいる。...けど、その分脆くて不安定なのね...。我慢してるみたいだけど、時々抑えられなくなってる。...私も、いつまでも引きずってられないわね。)」
甘えるように抱き着いた緋雪を再度撫でながら、私はそう思った。
「ほら、そろそろ上がらないと、のぼせるわよ。」
「あ、そうだね。お姉ちゃん。」
「えっ?」
「....あっ。」
間違って私を“お姉ちゃん”と呼んでしまった緋雪の顔がみるみる赤くなる。
「ち、違うの!い、今のは学校の女の先生をお母さんって呼んでしまうようなもので...!」
「お、落ち着いて!私にはその例えの意味が分からないわよ!?」
辛うじて例えを言おうとしてるのは分かったけど。
「...はぁ、今まで様々な人に出会ってきたけれど、私の事を“姉”と呼ぶのはいなかったわよ?」
「だ、だから違うって...。」
「分かってるわ。のぼせるから、早く上がりましょ。」
緋雪が取り繕うとするのを苦笑いで見つつ、私達はお風呂から上がった。
「...うぅ...恥掻いた...。」
「当事者の私以外聞いてないんだからいいでしょ。」
お風呂から上がって、居間で座りながら私達は会話する。
「はぁ....。そういえば、明日士郎さんが来るだろうけど、大丈夫?」
「それは人付き合い的な意味でかしら?」
「いや、それもあるけど....。」
別に私は人見知りじゃないわよ。
「...まぁ、士郎さん相手ならいざとなれば全部話しちゃってもいっか。」
「....なるほど、秘匿にするべき事を喋ってしまわないかって事ね。」
「うん。でも、士郎さんは魔法の事を知ってるから、大丈夫だよ。」
私だって喋ってはいけない事ぐらい弁えてるのだけど....。
「.
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