Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 5. The dianthus and the strawberry
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字の暴力に屈してしまう。そうならないために、私の知識は彼に有用であると思う。ただ強いだけならベータテスター含めて何人か当てはあるけど、そういった知識面に欠けているのは一護しかいなかった。
ちょっと押しつけがましい気もするけど、でも悪い話ではないと思う。
『強くなれる奴が強くなって、俺等はそれを手本に追い越しに行きゃいいだけの話だろうが』
攻略会議の場で、彼がそう言っていたのを思い出す。私が彼の『手本』になれるかは分からないけど、彼が強さを求めるのなら、私にはその手助けができる。
交渉の余地は十分にある。後は一護次第だ。この喧しい宴会の中でそんな話をするのも嫌なので、ここから北西にいったところにある噴水のところに来てもらおう。彼が乗ってくれるといいんだけど。
「……と、その前に」
取ってきた料理も食べきったし、デザートを取ってこなきゃ。
空になったお皿を重ねて持ち上げて、私は喧騒渦巻く宴会会場へと戻っていった。
◆
「…………ということで、一護、私とコンビを組んで欲しい。暫定じゃなく、このゲーム攻略のための」
第一層ボス討伐祝いの宴会からの帰り道、リーナに呼び出されてやって来た小さな噴水の前で、俺はそう言われた。
相変わらずの無表情のままリーナが言うには、俺のネットゲーム慣れしていない部分を自分の知識と経験で補うかわりに、迷宮区攻略に俺の力を貸してほしい、ってことだった。ソロでやっていくにはキツイけど、二人いれば役割を分けることができる。自分の能力を特化させて、より一点で強くなれる、彼女はそう言って俺を誘った。
悪い話じゃ、ないとは思う。
確かに俺はこういうゲームには不慣れだし、コツを教えてもらえるのはありがたい。強い武器とかの在り処も知りてえし、欲しいスキルの取り方も見過ごせない。
断る理由は、見当たらない。
けど同時に、俺には一つ、疑問があった。
「なあ、お前、本当に俺とコンビ組む必要あんのかよ?」
「あるから頼んでる」
「そうじゃなくて、何もカッチリコンビ組む必要もねえんじゃねえかって言ってんだ。本当にキツイクエストとか、ボス攻略の時くらいで良くねえか? お前みたいに知識も経験も豊富で、自分を強くしていきたいってんなら、一人のほうが効率いいんじゃねえか? 別にお前と組むのがイヤってわけじゃねえけど、何となく、そう思った」
「……確かに。普通にレベル上げをするだけなら、私一人でもやっていける」
けど、それじゃダメなの。そう言って、リーナは腰掛けていた噴水の縁から立ち上がった。弾みで被っていたフードが脱げ、真っ白い髪が街灯の明かりを反射して眩く光る。
「普通にレベルを上げてたら、普通の強さしか手に入らない。それじゃ足
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