復活
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が一気に下がっていく。彼を中心とした空間が、まるで冬の山のような状態になるのをその場にいた魔導士たちは感じていた。
「氷神の・・・・・」
魔力を溜めきったレオン。ついに復活のブレスをグラシアンに撃ち込もうとした時、
ヒョイッ
目の前にラウルが現れる錯覚が見えてしまった。
「ど・・・ごう・・・」
彼のブレスは打ち出されることなく、体が動けなくなってしまう。
「幻竜の斬撃!!」
「うわっ!!」
金縛りにあったレオンにグラシアンは容赦なく攻撃を打ち込む。レオンはそれをまともに受けてしまい地面に倒れ込む。
「マジで金縛りにあうんだな、可哀想に」
「くっ・・・」
楽しそうに笑みを浮かべてレオンにそう言うグラシアン。そんな彼の足場がいきなり盛り上がる。
「おっと!!」
グラシアンは打ち上げられそうになるが咄嗟にジャンプして後ろに下がり事なきを得る。その盛り上がった場所には黒い氷が出ていた。
「造形魔法ならいくらでもできるのにな・・・」
どうやらレオンが自分の身を守るために造形で足場を挙げたらしい。グラシアンが距離を取ったことで悠々と体勢を整えることができる。
「つっても・・・どうするかな・・・」
今の魔法は至近距離からの攻撃を回避するためにやっただけに過ぎない。状況はさっきと何も変わっておらず、厳しいままである。
『このこのこのこのこの!!』
レオンは聞き覚えのある声が聞こえ上を見上げる。そこには恋敵と勘違いしているジュビアとケンカしているシェリアが映っていた。
「ぷっ」
思わず吹き出す。他の魔導士たちは本気のバトルをしているのにあの2人だけは完全にただのケンカになっている。それがおかしくって、レオンは笑っていたのだ。
「なんか楽になった気がする」
よくわからないがレオンは悩んでいる自分がアホらしく感じた。彼は過去の辛い記憶から苦しみもがいているのに対し、シェリアは口癖の“愛”のためにただケンカをしている。それがなんだかおかしくて、ビジョン越しではあるが面白く感じて、心が楽になった気がしてきた。
(それに・・・一番辛いのは俺じゃない)
レオンはラウルのことを思い出す。彼の母親を自分の力不足で殺めてしまった。もし自分がリオンたちのように技量があれば魔法を途中で止めることもでき、彼は今ごろ母と楽しく暮らしていたのかもしれない。そう考えるとその記憶で苦しんでいるのは自分だけではなく、ラウルもそうなのではと彼は思った。むしろ彼の方が苦しい思いをしていたのかもしれない。ただそれを表に出さなかっただけで。
「やる。もうこれはやるしかない」
レオンは心に決めた。滅神魔法を使うと。
過去のしがらみから完全に抜け出るために・・・
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