6部分:第六章
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第六章
「それでなのよ」
「そうなんだ。じゃあ俺は」
「崇君は何を買うの?」
今度は恵美から彼に尋ねてきた。
「それで何を」
「今やってるゲームの攻略本をね」
買うというのである。
「それを買うよ」
「そうなの」
「それでどうかな」
恵美に対して問うのだった。
「別にいいよね」
「いいんじゃない?私もそうした本買うし」
「そうなんだ」
「別にどんな本買ってもいいじゃない」
「それじゃあ買うよ」
「ええ。それで今どんなゲームやってるの?」
恵美はこのことも彼に問うた。
「それで何やってるの?」
「ああ、格闘ゲームなんだよ」
それだというのだ。
「それをやってるんだ。これね」
ここでそのゲームの攻略本を手に取った。見ればそれは戦国時代を舞台にした一人の武将を選んで敵に切り込んでいくゲームであった。
「これやってるんだ」
「あっ、そのゲームって確か」
恵美はそのゲームの攻略本を見て述べた。
「アニメにもなってるわよね」
「そうだったね。それをね」
「今やってるの」
「凄く面白いんだよ」
そのゲームについても話をした。
「一度やったら病み付きになるんだよ」
「そこまで凄いの」
「凄いよ、とにかく面白くてね」
「それで攻略本を買って」
「面白いけれど難しいんだよ」
ここで彼は苦笑いになった。
「とてもね」
「そうなの。そんなに」
「だからこれ買って真面目に攻略するんだ」
「だったら今日お家に帰ったらすぐに」
「するよ。これ見ながらね」
こんな話をして彼も買う本を決めた。こうして二人はそれぞれ買いたい本を買った。それから店を出るとであった。恵美が不意に彼に声をかけてきた。
「ねえ」
「何?」
「これ見て」
こう声をかけてきたのだ。
「これね」
「これって?」
「そうよ、これね」
言いながらであった。懐から何かを出してきた。それは。
ペンダントだった。それを彼に見せてきたのだ。
「ペンダント!?」
「そうよ。それとね」
彼がそのペンダントを見ているその時にだ。顔をいきなり前に出してきて。
唇と唇を重ねてきた。一瞬だったが確かに。
それが何かは言うまでもない。それを受けた崇は。
きょとんとした顔になった。店の前で目をぱちくりとさせた。
それで何が起こったかわからなかったが。彼は言った。
「ええと、今のって」
「キスよ」
それをしてから微笑んでみせたのだった。
「御免ね、いきなりで」
「あの、実はね」
崇は戸惑いながら恵美に言った。
「俺河川敷で」
「それはわかっていたわ」
まだ驚いたままの彼にまた言うのだった。
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