アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの共闘を 04
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本当だったわけか……」
12人全員が索敵範囲から脱したのを確認して、僕はそう呟いた。
軍の一部がボス攻略を狙っていることは、不確定情報として既に知っていた。 曰く、ボス攻略に尽力しない軍に低層プレイヤーたちから批難が噴出しているらしい。 アインクラッド解放軍と名乗りながら、実際に解放のために戦っているのは攻略組なのだから、彼らの主張もそれなりに正しいだろう。
もっとも、自分は安全な低層に引き篭もっておきながら何を偉そうに、とか思わなくもないけど。
閑話休題。
問題は、軍のプレイヤーたちのレベルが、果たして最前線に通用するのかどうかだ。
追われる身だった僕は、当然の用心として軍の幹部たちやトップレベルのプレイヤーの情報、あるいは内情についての情報収集を怠ってはいない。 それは、追われる身ではなくなった今でも変わらずに続けている。 軍が僕を要注意プレイヤーとしているように、僕からしても軍は要注意の存在なのだ。
現在の軍のギルドマスターはシンカーと言う名の男性プレイヤーで、その副官にユリエールと言う女性プレイヤーがいる。 ただ、どちらも戦闘を至上命題にしていないのでレベルはそこまで高くない。 軍で最高レベル保持者は、こちらは因縁深い名だけどキバオウ。 彼が72で、その配下も70前後だったはずだ。
階層攻略の安全マージンが階層+10を目安にしていることからも、ここは明らかに無理がある。
それでもやらなきゃいけないと言うことは、彼らも余程切羽詰まっているのか、あるいはただの自殺志願者か……。
たとえどちらであろうとも、またどちらでなかったとしても僕がどうこう言う理由はないので止めるつもりもない。
「さて、僕たちも行こっか? 連中に遭遇したら面倒だけど、まあなんとかなるでしょ」
「おおー、珍しく楽観的ですねー」
「他人事だからね。 それに、彼らもまさか圏外で僕をどうこうしようなんてしないよ」
クスリと笑って僕は言う。
「命は大切だろうからね」
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