アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの共闘を 04
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「そうね」
「了解ですよー」
どうやらキリトも気になっていたようで、手早く指示を出してくれた。 アスナさんとアマリが返事をしたのを見て、まずはキリトが、その後に僕たち3人が続いて土手を上がる。
道を見下ろす位置にちょうど良い茂みがあったのでそこに身を潜めると、僕とアマリはさっさと隠蔽スキルを発動させた。
これで向こうからは見られずに済むだろうと楽観的に考えていると、少し離れた位置に身を潜めたアスナさんが困ったような顔をしていたので声をかけてみる。
「どうしたの?」
「……着替えを持っていません」
「ああ、それだと目立つもんね。 んー、ねえキリト」
「分かった」
呼ばれただけで瞬時に僕の要求を察したキリトが、その真っ黒のボロコートの前を開いてアスナさんの身体を包み込んだ。 黒系統の装備はそれ単体で隠蔽効果がある場合が多く、キリトのコートもそこに含まれる上、装備者が発動する隠蔽スキルの効果をブーストしてくれる優れものだ。 アスナさん自身は隠蔽スキルを持っていないと思うし、そもそも装備者でもないのでその恩恵は受けられないけど、それでもあのコート自体にある隠蔽効果で見つかることはないだろう。
それにしてもキリトも大胆なことをするものだ。 殆ど抱きついているのと変わらない体勢になることに躊躇いがない。
もっとも、キリトの場合はそう言う思考に到達していないだけだろうけど。 アスナさんさんはしっかり意識しているようで、顔を真っ赤に染めながら、それでも嫌がる素振りすら見せない辺り、やっぱり恋する乙女らしい。
「あはー、あれで付き合ってないって言うから驚きですねー」
「だね。 ただまあ、キリトが鈍感すぎるだけだと思うけどね」
「あそこまで鈍感だとお姉ちゃんが可哀想です」
「それも同感」
状況に似合わない緊張感皆無のやり取りの間に例の一団が可視範囲に入って来たので、どちらが言うでもなく押し黙る。
現れたのは黒鉄色の金属鎧で身を固めたプレイヤーたちだ。 片手剣と盾を装備した6人と、その後に続く斧槍を装備した6人との一団。 全員が同じ濃緑の戦闘服を着ているので、その正体は簡単に分かった。
アインクラッド解放軍。 プレイヤーの間ではそのまま『軍』とも呼ばれるSAO最大規模ギルド。
25層のボス攻略戦で甚大な被害を被った軍は、元々の拠点だった1層に引っ込んで低層フロアの治安維持に尽力している。 その一環としてオレンジプレイヤーの捕縛を担ってもいて、厳密に言えばオレンジプレイヤーではないけど、過去に殺人を犯した僕は軍の部隊に追われたりもした。 攻略組に復帰した際にその辺りのことは精算されたとは言え、今でも軍の要注意プレイヤーリストに僕の名前があるとか。
「やれやれ、噂は
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