第十四話:骸骨の刈り手、禍ツ神
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痺状態でほとんど動かない顔を動かして、この場にいる全員がレンを見ていた。
その視線から、レンは目を逸らすことしかできない。
「チャンスをあげよう。今この場で私と一対一で戦うチャンスを。無論不死属性は解除する。私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウトできる。………どうかな?」
「だめよキリト君……! あなたを排除する気だわ……。今は…今は引きましょう……!」
アスナの言い分は正しい。 なにせ頼みの綱のソードスキルは全てこの男が作ったものだ。例えキリトの二刀流であろうと、ヒースクリフの反射神経と記憶力、そして《神聖剣》を以ってすれば防ぎ切られてしまう。
ならば一度撤退して地道に進んだ方が格段に賢い。一度に攻略組トッププレイヤー二人を失えば、今後の作戦に甚大な被害が出てしまうのだから。
それでも、キリトの表情を見たレンは彼にそのような打算的な考えなど微塵もない事を理解した。
キリトの表情に浮かぶのは、怒り、そして決意。
キリトは、愛した人の為にここで退くつもりなどなかった。
「……なら、オレは??????」
深く、深く。
かつて殺人鬼と戦った時の感覚へ、埋没していく。
徐々に全ての感覚が失われていく。まず音が聞こえなくなり、次いで地面の感触が消えた。そして最後に、キリトがヒースクリフへ飛び掛る姿を見て、視界が暗闇に閉ざされた。
† †
ノイズにのみ満たされた世界。ナーヴギアと脳の接続がうまくいっていないオレにのみ行ける世界。下手をすれば接続遮断により脳が焼却されるが、今、神の拘束から抜け出す術はそれしかないのだ。
????なあ、ネロ
意識の中で問い掛けた。
かつて最も信頼していた相棒の名前を。この手で、その命を断ち切った少女の名を。
????オレの友達がさ、命懸けて戦ってんだよ
今でも思い出せる。
鮮やかな金色の髪に、鮮烈なまでの赤い衣装。手に携えた剣は情熱の炎が燃え、揺るぎのない絶対の意志が宿った翡翠の瞳。
????この世界を終わらせる為に。愛した人を、護る為に。……お前の口癖だったよな。『護る』って
口を開けば言っていた。みんなは私が護るのだと。誰かが死んだ時は、子供みたいに泣き喚いていた。
そんなお前だったからこそ、オレはお前にはついて行くと決めたんだ。そんなお前だったからこそ、アイギスの仲間が集まったんだ。
????だったら、オレも戦わなくちゃならないよな
勝ち目は薄い。
正直、うまく麻痺状態から抜け出せたとしても、ヒースクリフに勝つビジョンがまるで見えていない。
それでも。
????護る為には、戦わなくちゃならねえもんな
死ねない、な
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