第十四話:骸骨の刈り手、禍ツ神
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え」
「言われずとも」
百足が怒りの雄叫びを上げた。金属を引っ掻いたような大音響がフロアに響く中、レンは地面を蹴った。
「ぅ、おおおっ!」
身の丈程もある斧剣を容易く振り被り、そして体全体を使って振り下ろす。
余りにも硬い手応えに、本当にダメージが通っているのか不安になるが、その逡巡を雄叫びと共に跳ね除けて、そのまま振り抜いた。
「ガッ…!?」
衝撃。
激痛。
流血は存在しない。だが、意識を根刮ぎ奪い去り得る程の痛みがレンの胴を駆け抜ける。
両腕の鎌がディアベルとヒースクリフに封じられている今、正面に立つレンに対して骨の百足が行える攻撃手段はたった一つだった。
ぶちりと嫌な音が響き、レンの体が落ちる。引き抜いた骨の尾を一振りし、百足は吼える。
「レンッ!!」
レンがやられるなど有り得ない。
そんな思考が一瞬キリトの脳内を支配したが、そんな幻想こそ有り得ないと振り払う。この世界では、誰であろうと等しく死ぬ可能性がある。それを、痛い程理解したばかりではないか。
「キリトォッ!」
ディアベルが振り払われ、空いた右鎌がレンを襲う。痛みを噛み殺し、両腕で地面を押して鎌の着弾地点から退避し、そして叫ぶ。
レンとキリトの視線が交錯する。
それだけで、充分だった。
「アスナ! 右側面へ回るぞ!」
「え、でもレン君が!」
「レンの指示だよ。大丈夫、あいつを信じよう」
キリトに正面から見つめられ、アスナは折れた。小さく頷き返した彼女を見て、よし、と両手の剣を握り直す。
「急ごう」
「ええ!」
† †
「グッ…!」
数えるのも嫌になる程多い脚を小刻みに動かし、猛然と突進してくる巨体をたった一つの盾で迎え撃つ。
果てしなく重い衝撃を受け止めた刹那、体がバラバラになったような錯覚を受け、ディアベルは絶叫と共にその悪寒を振り払った。
眼前に両鎌をクロスさせそのまま縦横無尽にフロアを駆け抜け始めた骨百足を捕らえたのは、ディアベルが初めてだった。
すかさず味方の援護が殺到する。
右側面からキリトとアスナが、逆側ではクラインとエギルが、そしてーーー
「リライト・スレイブ」
空から光の剣が落ちる。
その有り余る威力によって、初めてスカル・リーパーは地に伏せた。
「攻めろォ!」
声高に叫ぶ。切っ先が指し示すは初めてひれ伏した骨の百足。各所でソードスキルの光彩が輝き、時間差で次々に叩き込まれていった。
† †
「レン、平気なのかい?」
「怖すぎて膝が笑ってるだけだ。今にもチビりそうだが、問題はない」
「大問題じゃな
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