第十四話:骸骨の刈り手、禍ツ神
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死神の鎌を持った骸百足。
その攻撃は歴然の攻略組プレイヤーすら一太刀で薙ぎ払い、その骨で構成された体は剣による攻撃を寄せ付けない。
既に死者は五人を超えた。にも関わらず、ボスのHPはまだ一割も削れていない。
確かな焦りが、プレイヤーを飲み込む。抱いた怖れが、一人の男を愚行へ導いた。
「う、うわぁぁぁぁ!!」
瞳に涙を溜め、そのプレイヤーは一人荒れ狂う百足へ走った。男の頭の中に考えなどなにもない。積もり積もった焦りと恐怖が、男の体を支配し操っていた。
「バカ野郎ッ!」
赤い武士の怒鳴り声すら最早届かない。
骸の死神は纏わりついていたプレイヤーを薙ぎはらうと、悠然とその男を見据えた。
骨の擦れる音。表情のない髑髏が、嗤ったように見えた。
直後、フロア中に轟音が響く。
「こ、の野郎ォォッ!」
「待てクライン!」
「なっ…ンだよキリト!? 仲間がやられたんだぞ!?」
全身に怒りを漲らせるクラインを、首根っこを掴むことでなんとか押し留める。
仲間思いなのはこの男の良いところだが、それで熱くなりすぎて死にに行くようではダメだ。
「安心しろよ。聖騎士二人と英雄サマがとっくに向かってるから」
「んぁ?」
キリトが指差した先。未だ巻き起こったライトエフェクトで視界が定かではない中で、しかしクラインはしっかりと二人のプレイヤーが骨百足の両鎌を防いでいるのを見た。
「う、オオオッ!」
そして轟く裂帛の気合い。顔を上げたクラインが見たのは、斧剣を左手に、ハルバードを右手に握ったレンの姿だった。
上空から飛来したレンの一撃が、スカルリーパーの髑髏を打ち欠く。目に見えて減少したボスのHPゲージに、プレイヤー達の士気は上がった。
「助かったよ、レン」
「礼はいらない。それよりも気を引き締めろ、ディアベル。これは一筋縄ではいかない」
「ああ、分かっているさ。右の鎌は俺に任せてくれ」
「ああ、頼む」
全身甲冑を纏う男は、かつて第一層の攻略作戦にてレンが助けたディアベルだった。元より優れた能力を持っていたディアベルは、今ではレンが信頼を寄せる内の一人であった。
ダメージによるノックバックから立ち直った骨百足を、傍らに立った男を意識して見据える。
「……アンタは左の鎌を防いでくれ。頼む」
「フ……まさか君からお願いされるとは思わなかった。ああ、いいだろう。左は私に任せ給え」
男????ヒースクリフは、その機械のような鉄面皮に小さな笑みを浮かべた。そして左手に持った純白の盾を掲げ、骨百足の左鎌へそれを翳す。
凄まじい衝撃音が、爆風となってレンの髪を揺らす。
「何をしている。行き給
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