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バレンタインに黒薔薇を
8部分:第八章
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け取っていいのかな」
 こう問うのだった。
「それだけの想いを」
「私の目に狂いはありませんわ」
 冴子の返答は絶対の自信から来るものだった。
「それは申し上げておきますわ」
「それじゃあ」
「是非」
 今度の言葉はこれであった。
「御願いしますわ」
「わかったよ、じゃあ」
 晴彦は自分の手を差し出した。そうしてであった。
 その薔薇の花束を受け取った。そして笑顔で言った。
「俺でよかったら」
「では。私もまた」
 冴子はその彼の顔を見上げたまま。気品のある笑みで返した。
「御一緒させて下さい」
「このチョコレート、有り難く全部食べさせてもらうよ」
「はい」
 こう笑顔で言い合うのだった。二人で。そんな少しだけ変わった、しかしとても幸せな結末のバレンタインであった。


バレンタインに黒薔薇を   完


                2009・12・28

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