Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 3. Hunglina in the Arena
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手を合わせたリーナは、特に躊躇することもなくバケットサンドに齧り付いた。女子にあるまじき大口を開けてバケットを口に収めた彼女は、一分くらいそのままモグモグやっていたが、口の中のものを飲み込むなり、そのまま二口目、三口目、とバケットを削り取っていき、あっという間に完食してしまった。
……食いきったってことは、気に入ったってことでいいんだよな? コレで「マズイやりなおし」とか言われたら、相手が女でも流石にキレるぞ。
と思っていると、リーナは口をモグモグやりながら手元を操作した。すると、俺の目の前に小さなウィンドウが一つ出てきた。
そこには、
「『Lina パーティー申請を受理しますか?』……ってことは」
「うん、美味しかった。ナイス」
無表情でサムズアップするリーナ。口元にソースが付いたままで、かなり間抜けな面になっている。
「ほお、リーナの御眼鏡に叶うってことは、けっこうな美味だったってことか。喧嘩っ早い性分なのに序盤で料理スキルを上げているとは、人は見かけによらないな」
「別に上げたくて持ってるわけじゃねーよ。レアな食材が手に入ったから、ちょっと手を加えてみたら勝手にリストに出てきたってだけだ」
「……まさかギャップ萌え狙い? その面構えで?」
「オメー、人の話聞いてたか? つか初対面の人間に早速なんつー台詞を――」
「あ、早くパーティー申請受理して。もっかいするの、めんどう」
「……聞いてねえなコイツ」
会話になってない。というか、する気がないようにすら見える。さっきのエンドレス空腹コールの時点でなんとなくそんな気はしてたが。
ビミョーにイラッとくるが、さっきまでその数倍イラつく奴を相手にしてたからか、抑えることはできた。言われたようにパーティー申請を受理する、 と、視界の隅に名前が表示された。これで、リーナと俺はパーティーメンバーってことになったみたいだ。何とか相方が見つかって良かった。
「一護、早速だけど質問がある」
「なんだよ」
「さっきのベーコン、まだある?」
「まあ、多少は」
「売って」
……最も、食事以外で円滑な関係が築けるかは分かんねえが。
無表情なのにどっか活き活きしているという、矛盾した表情でトレード欄を提示してくる初めてのパーティーメンバーを見て、俺は心の中でため息を吐いた。
◆
「聞いてくれ、皆。オレから言うことはたった一つだ」
翌日、第一層ボス部屋前。
剣を地面に突き立てたディアベルが、俺たちに凛々しく呼びかける。背筋を伸ばし、突き立てた剣の柄頭に両手を重ねて立つ姿は、正に騎士そのものだ。
「勝とうぜ!」
その短い言葉に、全員の表情に力が入ったのが見えた。隣にいる相方は無表情のままだが
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