Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 1. Blue boa is comin'
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れてて、クリックしてみるとステータス画面が出てきた。そこでポイントを振り分けるみたいだ。考えるのも面倒なので筋力と敏捷性に平等に振っておく。
続いて、二枚目。
「アイテムは……おー、いろいろ出てんな。牙に毛皮に肉……肉って、要するにアレか、牡丹ってヤツか」
何となく気になって、『メガフレンジーボアの肉』の項目をダブルクリックしてみる。
……ドチャッ、という生生しい音とともに、赤黒い肉塊が手元に落っこちてきた。
「………………うわぁ」
思わずガチでひいてしまった。右手を振ってアイテム回収ウィンドウを開き、さっさと放り込んでおく。何だよ、ゲームの中でモンスターの肉って言うから、某モンスター狩りゲーで出てくるみたいな骨付き肉を想像してたわ。フツーの生肉の塊じゃねえか。無駄にリアルで気持ち悪い。頭を振ってグロテスクなビジョンを追い出し、ウィンドウを消去して街を目指して歩き出す。
森から出るとキツめの夕日に一瞬視界が白み、思わず顔をしかめた。この世界には痛覚がないのはさっきの戦闘で知ってはいたが、強烈な日光を見ると目玉の奥がズキズキと痛むような気がして、反射で目を細めてしまった。
眼が明るさに慣れると、目の前には『はじまりの街』を取り囲む真っ白い城壁。地平線の先まで続いている長大な煉瓦作りのその壁が夕焼けの紅に染まっているのはかなり壮観だ。
こういう規模の大きさや紅白のコントラストの綺麗さを見ていると、改めてこのゲーム、というか、VRMMOの凄まじさを実感する。俺がいつもやってた鉄拳とかの格ゲーとは別世界みたいだ。さっきの生肉もそうだが、リアルっていうか、もう本物にしか見えない。今日の朝軽く調べた感じでは、脳に電気信号かなんかを送り込んでこういう景観を脳内で形にしているらしいんだが、文系の俺にはイマイチピンとこなかった。石田辺りにでも聞けば解説は聞けそうだが、この時期にそんな話題を振れば呆れた顔をされるのは目に見えてる。あのイラつく面を進んで拝みたいとは思わない。
「……っと、そうだ。時間、ヤベえんじゃねえか?」
視界の端に表示された時計を見ると、時刻は午後五時半前だった。今日の晩飯はいつも通り七時だって遊子は言っていたし、後の時間はアイテムを換金でもして、仮想世界の食事ってのを食ったりして観光でもしてよう。この世界の食事は空腹感を疑似的に満たしているだけらしいから、晩飯前でも問題ないだろう。
別にこのまま森の中でバトルに興じてもいいんだが、これ以上やると止め時を逃してしまいそうだ。これはあくまでも受験勉強の息抜き。惜しくはあるが、これ以上やり込むわけにはいかない。長男がゲームを理由に受験失敗して妹たちに負担が行くなんてことになったら、兄貴失格だしな。
だがまあ、今はまだこの仮想ファ
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