Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 1. Blue boa is comin'
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正直なめてたな。こっちでも戦いのコツは変わんねえってことが、よーく分かった。
おい、イノシシ野郎」
ふっ飛ばした先にあった巨木をへし折って止まったらしいイノシシの鼻っ面に、剣先を真っ直ぐ向ける。憤怒に染まっているはずの奴の目にさっき程の脅威を感じないのは、いきなり強烈な斬撃を叩き込まれてAIのクセに一人前に警戒でもしているのか、それともスキルのコツを掴んだが故の余裕があるからだろうか。
いずれにしろ、やることは変わらない。剣の柄をしっかり握りしめながら、俺は真っ直ぐイノシシのつり上がった目を睨み返す。
「よくも散々いたぶってくれたなオイ。素人相手にケンカ売った罪、てめえの身体でじっくり思い知れ。このクソイノシシ野郎が!!」
剣を脇に構えて、俺は再びイノシシ目掛けて駆けだす。奴もそれに合わせたように、立ち上がって突進の体勢をとった。俺とイノシシ、両方の刃に青白い光が再び灯るのが見える。
森の中の空き地で、剣と牙が轟音と共にぶつかり合った。
◆
十分後。
胴に叩き込んだ一撃で残り一ミリだった体力ゲージがゼロになり、イノシシは弱弱しい断末魔と共にポリゴン片となって砕け散った。手元にレベルアップ通知と、経験値やアイテムなどの取得物一覧の二枚のウィンドウが軽やかな音と共に表示され、それでようやく俺は臨戦態勢を解いた。
「……勝った、勝ったぞ。なんでゲームの初陣で、こんなシンドい思いしてんだよチクショー……」
ぶっちゃけ、その辺の虚とやりあうのより大変だった。なにせ、斬魄刀のパワーとか瞬歩の速度で蹂躙することができない状態で剣術のみで戦う必要があったわけで、斬月ありきで戦ってきた俺には只の剣一本で立ち向かえというのは思ったよりも簡単ではなかった。
流石にレベルをガッツリ上げれば死神状態と変わらない感覚で戦えるようにはなるんだろうが、そこまで真剣にやりこむ予定は今のところない。いや、受験が終わったらケイゴ辺りを連れて戦場に繰り出してもいいんだが。それとも久しぶりにたつきとタイマンで殴り合ってもいいか。
とりあえす未来のことは置いといて、目の前に表示されたウィンドウに目を通して見る。
一枚目、レベルアップの通知ウィンドウ。
「えーなになに……レベルアップしました。で、レベルが五になってポイントもいくらか振り分けられる、と……って、レベル五!?」
思わず二度見した。
いや確かにレベル八のモンスター相手にタイマンで勝ちゃそうなるだろうけどよ。しかも良く見れば経験値のゲージっぽいものも既に九割がた埋まっていて、もう少しでレベル六に上がってしまいそうな感じだ。下剋上の旨みってのを実感することしきりだ。
その下には振り分けられるポイントが表示さ
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