Chapter 1. 『ゲームの中に入ってみたいと思ったことは?』
Episode 1. Blue boa is comin'
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別がつかないくらいリアルだった。街の外に出てみれば、見渡す限りの青空に大草原。周囲には鬱蒼とした森が広がっているのが見えた。
見るもの聞くものに驚きながらとりあえず街のすぐ近くにあった森林に入ってぶらぶら歩き回り、そういえば街の外ってモンスターとか出るんだよな、と思い出した瞬間、コイツが森の奥からのっそりと姿を現した。『メガフレンジーボア』と表示されたソイツは俺を見るなり突進の構えに入り、大慌てで回避した俺は体勢を立て直し、こうして森の中の小さな空き地で相対することになった。
「ブギイイイィィッ!!」
「アッブね!」
岩鷲のペットのイノシシ並の速度で繰り出された突進を真横に跳んで躱す。すれ違いざまに胴に斬りつけるが、ごく小さな赤いラインが刻まれただけで、体力は碌に減っちゃいない。
轟音と共に大木をへし折って止まったイノシシに接近し、今度は後ろ足を切断するつもりで深く斬り込んだが、刃が浅いところで止まってしまった。跳ね上がった後ろ足をのけぞって避け、もう一度距離を取る。
「やっぱ、斬撃の火力が足りねえか。こうなりゃ、スキルってのを試すしかねえ。確か……こうか?」
一応基本的なスキルの予備動作は覚えてきた。俺が持ってる片手用直剣で最初から使えるのは、水平斬り《ホリゾンタル》、斬り下ろし《バーチカル》、袈裟斬り《スラント》の三つ。とりあえずはその中の《バーチカル》を試すために、右手に持った片手剣を思いっきり振りかぶる。イノシシも俺の構えに反応したかのように、再度突進の気配を見せた。
さあ来やがれ、そのブッサイクな面を叩っ斬ってやる!
「………………って、あれ?」
発動しない。ウンともスンともいわない。
「なんだよ! 構えりゃ自動で発動すんじゃねえのかよ!」
「ブギイッ!」
「ぐうっ!?」
ミスった。
イノシシの突進を避けきれず、俺は十メートル程思いっきりふっ飛ばされた。どうにか剣の腹でガードはしたが、それでもレベル1の俺には大ダメージだ。ちらっと見た視界の端の体力ゲージは、もう残り二割を下回っている。
トドメと言わんばかりに付き出された牙の一撃を剣で受け流して地面を転がり、奴の間合いから抜け出す。
「チッ、何なんだよ……アレか? 技名でも叫べってのか!?」
いや叫んでもどうせ発動しねえんだろうけど。ジャスティスハチマキ的に考えて。
しょうもない考えを頭から追い出しながら、怒り狂ったイノシシの突進をひたすら躱しつ梳ける。どうせ当たって死んでもすぐ復活するんだろうが、レベル差の暴力に屈したみたいでなんかムカつく。どうにかしてスキルを発動させてダメージを与えていかねえと……。
「ブッギイイィィッ!!」
「また突進かよ、いい加減しつこ……ヤベッ!?」
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