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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第44話 真祖の覚醒
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 亞愛が優勢だが、それでも明らかに本気を出していないアカーシャに苛立ちを感じていた。

「ん〜 どうしたの? 私の事受け止めてくれるんでしょ? 私が欲しいあなたの「力」…こんなものじゃないはずよ。 真祖とは星のように気高い存在… その強さは普通の吸血鬼(バンパイア)を遥かに凌ぎ、強大な妖気は漆黒の闇よりも深く…、そして美しいのだという…」

 アカーシャの血の付いた血を振り払い近付いていった。

「そろそろ見せてよ アカーシャさん。伝説にまでなった真祖(あなた)実力(ちから)を」

 アカーシャは黙って聞いていた。だが、表情は決して変えない。

「ふふ… 確かに強いのね。でも あなたこそまだ遠慮しているんじゃないの? この程度じゃ 私にダメージは与えられないわよ……」

 アカーシャは、ゆっくりと身体を亞愛に向きなおしていた。その僅かな間で。いや 殆ど一瞬だった。全身を斬られていたアカーシャの傷が。

「………! 何…(傷が… 治癒していく…!)」

 完全に塞がっていたのだ。周囲に飛び散った血痕すら残っていなかった。

「あなたは自分が思っている程 冷徹な娘じゃないわ。たとえ血が繋がって無くても「母親」の私にはよく判る……」

 アカーシャは、この時初めて表情を崩した。幾ら亞愛の攻撃を受けても、表情を変えなかったアカーシャが。……悲しい顔に。

「辛いならやめたっていいのよ亞愛……」

 それは、生涯孤独で過ごした亞愛。もう、二度と温もり等得られないと想っていた亞愛。
 だから、母の愛などとは無縁で過ごしてきたからこそ、亞愛は顔を赤くしながらも激情した

「……ッ!何をッ!!」

 その表情を消そうと、己の脳裏に焼き付きかけたその顔を切り捨てようとしたその時。



「やめてぇぇ!!」



 叫び声が、響き渡った。



 その声の主は、異変を 胸騒ぎを感じて、そして何よりも、アカーシャにくれた《ロザリオ》を取りに、館に戻ってきたモカが叫んだのだ。

「どうなってるのこれ……… 何でお母さんが血まみれなの? ひどいよ! 亞愛姉さん お母さんを傷つけないでぇ」

 モカは叫ぶと同時に、アカーシャの元へと駆け出した。

「モカっ どうして戻ったの!? ここに来ちゃダメっ!」

 近付いてくるモカを見て、初めて動揺したアカーシャが叫んだ。




「………モカ……」

 亞愛は、悲しそうな顔をするモカを見つめた。

 モカが亞愛を見る目はいつもの温かい目じゃない。怒りの目、亞愛が見た事が無い目、そして表情だった。

「(ああ… そうか、アカーシャさんの言う通りだね… 私はまだ躊躇ってたんだ… あなたを悲しませる事 あなたに
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