暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
遥か昔の恋話
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たしはウェルスので、ウェルスはわたしのなの?」
 「そうだよ」
 ちょっと待て子供ウェルス。
 お前、私より一歳上ってだけだろ。こんな小さい時から既に独占欲を見せてたのか?
 「じゃあ……わたしはここで、ひとりじゃないんだね」
 頷くな純真な私。
 いたいけな子供になんて事を刷り込んどるんだ、バカ男!
 「傍に居るよ。何があっても俺が傍に居る」
 「うれしい……あったかい、なぁ」
 私の体がウェルスの腕を滑り落ちる。顔が赤い。熱か。
 覚えてないのも納得だ。この時の私は多分、朦朧として……
 「だから俺を置いて行かないで」
 私を抱き起こしてしがみ付くウェルス。
 小さな肩が、震えてる。



 「……阿呆め」
 開いた目に天井が映った。隣には眠ってるマリア。
 上半身を起こして窓を覗けば、夜明け前の黒い空。
 支度には丁度良い頃合いか。
 男共は意外と朝に弱い。仕方ないから、私がこの手で叩き起こしてやろう。
 バカ男のほうは、キスで起こしてやっても良いかもな。
 「私こそ、離れてやらないよ」


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