Side Story
遥か昔の恋話
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たとは思えないだろ?」
薄い水色の目を真ん丸にして、口元を押さえるマリア。
色を失くした苦い表情は……ああ、こんな理性を持つ人間が大半を占める世界だったならと、苦笑いを禁じ得ない。
「過疎が進んだ村ほど悲惨なものはない。最後に笑うのは、年老いて朽ちた屍体を喰らうカラスの群れだ」
自分だけを愛し、夢に泥酔したガキ共の末路も知れてる。
他人に利用され他人に八つ当たり、他人を見下し、何者にもなれないまま有象無象に呑まれて消えるのさ。
仕方ないよな。
一度でも成功したヤツは、自分にとって使えるヤツしか相手にしないし。
根拠が無い自信を掲げても、実力が伴わなければ一笑に付されるだけ。
俺は一人で生きてるんだ〜とか、格好悪い勘違いの泥沼に首までどっぷり浸かってんだから、助けようがないし、助けたいとも思わん。
一人で頑張って生きてんだよ! とか本気で思ってるなら、他人には一切絡まず関わらず、最期の最後まで一人でひっそり生きて欲しいものだね。
骨肉になれば、野生動物のエサくらいにはしてもらえるだろう。
「少々話の筋がブレたか。簡単にまとめると、地方婚の慣習が私達の代まで続いてて、私の相手に指定されたのがウェルスだったって話だよ。だから、私達は地方婚の制度上ではちゃんと公認されてる夫婦だし、国の法律上では認可される年齢じゃないから正式な夫婦とは言えない。『内縁の夫婦』って表現のほうが解りやすかったかな?」
「……今のお二人が互いを大切にしているのは、私にも伝わってますが……結婚相手を勝手に決められ、自分の意思を無視して一方的に押し付けられて嫌だとは思わなかったのですか?」
そういえば、マリアも危うく結婚を強要されるところだったな。
確かに、好意も敬意すらも持てない相手に性交と恭順を求められるのは、女でも男でも嫌だろう。
ついでに、愛せるかどうかも分からない子の育成まで約束されてるんだ。
精神的に穏やかな家庭の構築なんぞ、最初から不可能に近い。
『普通』なら。
今思い返しても、私達は『普通』じゃなかった。
「全然。相手を決められたその夜には、好意とか関係なく自然に夫婦生活を始めてたし。むしろ気持ち悪い虫が寄ってくる前に顔見知りの盾が出来て、私にとっては幸運だったよ」
「盾、って……」
「ん。最初はそんな認識だった」
結婚前に別室で寝てた私を夜這いに来たウェルスは、大概キチガイだが。
あーはいはい。と、あっさり受け入れた自分も、相当おかしい。
その理由が、容姿目当てにいかがわしい視線を投げてくる男達を避ける為というのもどうなのか。
「ウェルスは言動こそバカだけど、半端な仕事を嫌う真面目さもあるから。夫として迎えるのに、特に
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