Side Story
遥か昔の恋話
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果たしていないのが実状だ。
畑仕事もなぁなぁで、家に帰れば飯があるのは当然だと思ってる。
進んで家事を手伝う気概も見せず、両親を労るどころか雑に衣を脱ぎ散らかしては放置し、代えは何処だと人任せ。
如何に自分の時間を確保するか。それにしか頭が回らない。
つまりは自分の足下すら固められないズボラ共が、世話になってる相手を足蹴にして高飛びを夢想しちゃってる訳だ。
そんなお坊っちゃまに何ができるのかと嘲笑いながら「ガンバッテミレバァ?」と見送る女達の年齢も……しかし迷惑な事に、その夢想男共の所為で年々狭められていた。
「出生率……」
「そう。若い男共が村を離れれば、子供が産まれる確率も当然落ちる。働き手が居なくなれば村の経済も悪化の一途。すると出稼ぎの必要が生じて……あっという間に村は老いと幼さで包まれてしまう。過疎ってヤツだね」
そうして考え出された苦肉の策が、適齢期以下の女子又は未亡人の結婚。人が少ない場所だからこそ独自に発展させるしかなかった、言ってみれば「地方婚」だ。
「国の政事機関が全領土に発布する法律とは反してるが、これが不思議な事に夢想男共とは真逆で、上の人間の多くは自分の足下……直轄の領地にしか目を配らない。要するに黙認状態さ」
村を出て行く前の相手に。自分の仕事に誇りを持って残った相手に。ごく稀に訪れる移住者相手に。夢破れた挙げ句自分の言動に責任を持たないまま厚かましい面をぶら下げた出戻りを相手に。幼い未婚の女達は望まぬ結婚を押し付けられる。
それを拒否して出て行く若者達も当然男女問わず居るんだから、悪循環に拍車を掛けるのは傍目にも明白なのだが……当事者達は生き残る為に必死だ。
「地方婚は別段珍しくない。世界中何処でも普通に行われてるし、本当に早いと五歳の女の子が妊娠した例もあるらしい。異常な性徴速度も気にはなるが……どう考えても同意とは思えないだろ?」
薄い水色の目を真ん丸にして口元を押さえるマリア。
色を失くした表情は……あぁ……こんな理性を持つ人間が大半を占める世界だったならと、苦笑いを禁じ得ない。
「過疎が進んだ村ほど悲惨なものは無い。最後に笑うのは、老いて朽ちた死体を喰らうカラスの群れだ。自分だけを愛し、夢に泥酔したガキ共の末路も知れてる。他人に利用され、他人に八つ当たり、他人を見下し、何者にもなれないまま有象無象に呑まれて消えるのさ。仕方ないよな。誰にも感謝できないヤツは、誰にも感謝されない。「俺は一人で生きている」とか格好悪い勘違いの泥沼に首までどっぷり浸かってんだから助けようがないし、助けたいとも思わん」
一人で頑張って生きてんだよとか本気で思ってるなら、他人には一切絡まず、関わらず、最期の最後まで、一人でひっそり生きて欲しいものだね。
骨肉になれば、野生動物の餌く
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