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至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
七 〜酒宴〜
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さん、どうしましょう?」

 心配そうな董卓。
 ……いや、これはいい機会だろう。

「やりたいようにさせましょう。死に至らなければ良いだけの話です」
「ご、ご主人様。良いのですか?」
「ああ。鈴々、仕合は構わぬが、殺したり、大怪我を負わせてはならん。わかったな?」
「応なのだ!」
「ほう、これは格好の余興だな」
「せやな。華雄、油断したらあかんで?」
「誰に言っている、霞。私はこのようなチビに負けたりなどしない!」
「にゃにおーっ! 思い知らせてやるのだ!」

 ……華雄には悪いが、勝負は見えているだろうな。

「ちょ、ちょっと! アンタの臣下なんでしょ? 止めさせなさいよ!」
「いや、賈駆殿。見たところ、どちらもこのままでは収まりがつかぬと見ました。とことんやらせるが宜しいかと存ずる」
「し、知らないわよ! うちの華雄は、猪なんだから」
「にゃははー。お前、猪なのだ」
「え、詠! 余計な事を言うな! おい、土方とやら、このチビに勝ったら何とする?」

 華雄は、ずいと身を乗り出してきた。

「華雄さん、失礼ですよ?」
「月は黙っていてくれ! さぁ、答えて貰おうか?」
「ふむ。では、この差し料を差し上げようか」

 と、和泉守兼定を叩いて見せた。

「何っ? その得物をか?」
「然様。では貴殿はどうするのだ?」
「どう、とは?」
「賭をするのに、まさか一方的に、とは申しますまい? 貴殿も、何か出さねば、賭として成り立たぬかと」
「クッ。まさか、この金剛爆斧(こんごうばくふ)を寄越せと言うのか?」

 華雄は、手にした斧を顧みた。

「いやいや。では、拙者の頼みを一つ聞いて戴く、というのは如何でござる?」
「頼み、だと?」
然様(さよう)。もちろん、命を戴こうとか、そういった類ではありませぬ」
「……し、しかし。お前のその得物は、命に等しいのではないか?」
「当然でござる。従って、拙者の頼みも、それに等しきもの、そう心得られよ」
「……わかった。その賭、受けるぞ!」

 そして、対峙する二人。
 華雄は、金剛爆斧と称する大きな斧を。
 鈴々は、身長の数倍もの長さを誇る蛇矛を。
 それぞれが、構えた。

「愛紗。どう見る?」
「はっ。華雄殿もなかなかの遣い手のようですが、鈴々に分がありましょう」
「星はどうだ?」
「ふふっ、主もお人が悪い。鈴々が負けぬとわかって、賭に乗られたのでは?」
「せやなぁ。土方はん、アンタもなかなか意地悪いで?」

 張遼も、流石に二人の力量差を見抜いているようだな。

「だが、賭を申し出たのは華雄殿。拙者ではござらぬ」
「ま、ええけどな。ウチは、酒の余興に楽しませて貰うで」
「私もお付き合いしますぞ、張遼殿?
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