シグリ家当主のお披露目
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わりとほほ笑むルイ様は、まるで聖書の中の天使がこの世に舞い降りてきたかのよう。ルカ様は、私が知る中で3番目にかっこいい人だ。2番目は私のお父様で、1番かっこいいのは、、シグリ家の敵だ。決してこれは口に出してはならない。当主として、シグリ家の手本であるべきなのに、敵がかっこいいなんて、言えるわけがない。
「あ、あのね、ルカ様。お礼もするつもりだったのだけど、あとで、聖書を貸してはいただけませんか。少し、勉強したいことがあるんです。」
く、口から出まかせが出た。別に聖書を勉強するつもりなんてないけど、何か言わなくちゃあの人の名前を出してしまいそうで。
「もちろんですよ、ルイーズ。勉強熱心なのはいいことですが、くれぐれも、無理のなさらないように。あなたはまだ若い。こんなところで倒れてはなりませんからね。」
「心得ております、ルカ様。」
「それはよかった。それでは、次の日曜日に聖書を持ってまいります。それでもよろしいですか?」
「はい、お願いします、ルカ様。それでは失礼します。」
「お気をつけて、ルイーズ。あなたに神のご加護がありますように。」
ルカは祈りのポーズをルイーズにするとともに、ルイーズの未来を覗き見た。覗き見れたのは一瞬だったが、それはあまりに美しく、儚く、そして残酷なものだった。
いずれこの少女も、『彼女』と同じ道を歩むことになる。若さ故の過ちを犯し、運命の名のもとに散っていくのだろう。少女は自分の定められた運命に抵抗する。しかしそのささやかな抵抗は運命を覆せない。これが、栄光のシグリ家の第9代当主の生き様となるのか。しかも、自分が何の手助けもできないことがまた、ルカを悔やませる。
運命の歯車は、動き出したばかり。
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