第1話 賢将との邂逅
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ば、果物の飾り付けのバランスが変かもしれないが、言われなければ誰も気付かないくらい完成度が高い。
「いや……凄いよ。多分売り物と言っても通用するよ」
寧ろ売り物にだってこれくらいの失敗はあるだろう。
「ありがとう。さあ、エックス。食べて!」
「ありがとう。そうだ、僕だけでは食べきれないからルインも一緒に食べよう」
「うん。どうぞお召し上がり下さいエックス♪」
「頂きます」
一口ケーキを食べると、チョコレートクリームは自分のために甘さを抑えているのだろう、それほど甘くはない。
それに、一緒に添えている果物の酸味が甘さをしつこくない物にしており、やはりルインはお菓子などに関しては天才的だ。
二百年ぶりに口にしたケーキにエックスの顔が綻んだ。
「あ、そうだ。例の“アレ”、彼に渡してくれた?」
「例の“アレ”かい?勿論だよ」
互いに意味深な笑みを浮かべるエックスとルイン。
時間は今から少し前に遡る。
エルピスはサイバー空間にて、ゼロとシエルのチョコレートの交換を見ていた。
「(手作りチョコレート…お、己ええぇぇええ…)」
レプリロイドだった頃には無かったが、サイバーエルフになった時に食物摂取が出来るようになったエルピス。
「やあ」
悔しがるエルピスの前に現れたのはエックスであった。
「エックス…様…」
申し訳無さそうにエックスを見つめるエルピスに、エックスは慈愛に満ちた目でエルピスに一つの箱を差し出した。
「これ、シエルから」
「シエルさんから!?」
「開けてみたらどうかな?」
エルピスは包装紙を取り、箱を開くと、“義理”とでかでかと書かれたチョコレートが入っていた。
「……………うああああああああああっ!!!」
見事に打ちひしがれたエルピスは膝をついて悲痛な叫び声を上げ、そんなエルピスに満面の笑みを浮かべながら背中に隠したエックスの手にはチョコペンが握られていたのであった。
因みにもう一つはルインが所有しており、エックスとルインの共同作業は見事に成功したのだった。
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