暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜黒の剣士と神速の剣士〜
SAO:アインクラッド
第29話 絶体絶命
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ディールは剣を脚から抜くと今度は腹に突き立てる。
キリトのHPが大きく減少し赤い危険域へと達した。
しかしキリトはそれがどこか遠い世界の出来事のように思えていた。
思考が暗い小道へと迷い込もうとしていた。
意識に厚く、重い紗がかかっていく。
だが、突然キリトの脳裏にアスナの顔が過る。
そしてそれと同時に途方もない恐怖がキリトを襲った。

アスナを置いてこの世界から消える。
クラディールの手に落ち、俺と同じ責め苦を受ける

その可能性は耐えがたい痛みとなってキリトの意識を覚醒させた。

「くおっ!!」

キリトは自分の腹に突き刺さっているクラディールの剣の刀身を左手で掴むと、力を振り絞りゆっくりと体から抜き出す。

「お……お?なんだよ、やっぱり死ぬのは怖えェってかぁ?」

「そうだ……まだ……死ねない……」

「カッ!!ヒャヒャッ!!そうかよ、そう来なくっちゃな!!」

クラディールは怪鳥じみた笑いを洩らしながら剣に全体重をかける。
キリトはそれを片手で必死に支える。
しかし剣先は徐々に下降し始める。

「死ね────ッ!!死ねェェェ────っ!!」

1センチ、また1センチと剣が下降し切っ先がキリトの体に触れる。
そしてキリトの体に剣が潜り込もうとした瞬間、一陣の疾風が吹いた。

「な……ど……!?」

驚愕の叫びと共に顔を上げた直後、クラディールは剣ごと空高く跳ね飛ばされた。
キリトは目の前に舞い降りた2つの人影を声も無く見つめた。

「間に合った……間に合ったよ……神様……間に合った……」

震えるその声は、キリトには天使の羽音にも優るほど美しく響いていた。
崩れるようにひざまづいたアスナは目をいっぱいに開いてキリトを見た。

「生きてる……生きてるよね、キリト君……」

「あぁ……生きてるよ……」

キリトの声は驚くほど弱々しく掠れていた。

「……待っててね。すぐ終わらせるから……」

アスナはキリトを回復結晶で回復させるとすくっと立ち上がる。

「サキちゃん、キリト君をお願い」

「う、うん。わかった」

アスナはサキに言うと腰から細剣を抜き歩き出す。
アスナの向かう先ではクラディールが体を起こそうとしていた。
クラディールは近付いてくるアスナに気付くと両目を丸くした。

「ア、アスナ様……ど、どうしてここに……。い、いや、これは、訓練。そう、訓練でちょっと事故が……」

クラディールは立ち上がりながら裏返った声で言い募る。
だが、その言葉は最後まで続かなかった。
アスナの右手が閃き、剣先がクラディールの口を切り裂く。

「このアマァ……調子に乗りやがって……」

しかし、その台詞も中断をよぎなくされた。
アス
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