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物理的に起こされた一刀は頭を擦りながら、眠たそうに身体を起こすと、これまでのことが夢ではなかったことを知り、溜息を吐いた。
一刀にこうなった原因が分かるはずもなく、事情を知っているかもしれないこと共たちに声を掛ける。
「ちょっといいかな?」
一刀の呼びかけで皆の顔が一斉に一刀へ向けられたことを確認し、一刀は質問を始める。
その子供たちの顔には、不安な表情がはっきりと出ていた。
「ここが何処か分かる子はいるかな?」
せめてそれがわかれば、最悪歩いて帰ればいい。
そのような腹積もりで尋ねたのだが……
「分かんない!」
「ここはどこだ?」
「ん〜分からない」
子供たちは、それぞれ顔を見合わせて相談するが、中々結論がでない。
幼い子供相手に曖昧な質問だったと反省し、一刀は言い直した。
「あーっと……漠然としすぎたな。ん〜。言い方を変えよう。ここは何県?」
「けん?」
「けんとは何だ? 秋華」
「県令のことかな?」
「父様の質問は難しすぎる! もっと分かることを聞いてくれ!」
春華が立ち上がって抗議する。
これには一刀も頭を悩ませた。
一刀としては、子供たちでも分かりそうな質問をしたつもりだったのだが、分かっていそうな子はいない。
一刀は子供たちの表情を確認して、もっと分かりやすいものへと質問を変えた。
「じゃあ、この辺で有名な建物とか食べ物とか知ってる?」
「食べ物は父様の料理がうまいぞ!」
「たぶんそういうことではなさそうだぞ。姉さん」
「秋華の言う通りね。たぶん聞きたいことは……」
「良いですか?」
それまで、大人しく数人で纏まっていた子供のひとりが手を挙げる。
一刀は手を挙げた子供へ顔を向けた。
手を挙げたのは、頭に三角帽子を被った子供で、何故か目を潤ませながら一刀に期待するような眼差しを向けている。
「えーっと……」
「雷です。お父様は雷の事をお忘れなのですね……。酷いです……」
一刀は手を挙げた子の名前が分からなかったことで、雷は顔を両手で隠し、足を崩した姿勢で泣き始める。
そんな雷を一刀は慌ててあやし始めた。
「いや、忘れたとかではなく、ちょっと記憶が混乱しているというかなんというか……あー泣かないでくれ」
「それでしたら抱き締めて頭を撫でてください〜」
「ほら。これで良いか?」
一刀は雷を抱き締めると、優しく頭を撫で始めた。
その光景を見た他の子供も、羨ましそうに自分もしてもらおうと、口を開く寸前で雷が満足したように話の続きを答える。
「ここは恐らく大陸の東側だと思います〜」
「
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