テンキ――仮面ノ怪人ノ正体
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ける。
「怪人がどれだけ恐ろしい存在なのかを教えてあげるよ」
ニッコリと、莉子が笑う。
莉子の手に真っ白な仮面。この無機質な仮面には見覚えが合った。
先日、要を襲った仮面の怪人が身に着けていた物だ。
莉子はその仮面を自らに被せ。
「バイバイ」
そう告げた。
莉子がどこからとも無く取り出した、真っ白なコートを羽織る。
「――その女が、仮面の怪人なんだよ!」
里里の声が響く。
あの日出会った仮面の怪人が、そこにいた。
「撃つぞぉ!」
しびれを切らした後列のヒーローの一人が、引き金を引いた。
要の背後に立っていた莉子に向けられて放たれた弾丸は、真っ直ぐに要を目掛けて飛来して。
「ぐちゃり」と。
莉子の白いコートから飛び出した触手が、その弾丸を受け止めた。
「え……?」
めまぐるしい展開に思考停止におちいった要の足に触手が巻きつく。
そして触手はヒーロー達目掛けて、要の体を投げ捨てた。
要の体が射線から外れる。
同時に、後列のヒーロー達が一斉に引き金を引いた。
銃口が火を吹いて、無数の個性の弾丸が仮面の怪人――莉子に飛来する。
弾丸はコートを引き裂き、ほとんどが莉子に当たった。
「うっ……つぁ、うぁあ……」
莉子が苦しげなうめき声を上げる。
破れたコートの下に、蠢く触手が見える。
要は前列に居たヒーロー達に抱えられて、体制を持ち直していた。
「君は下がりなさい」
ヒーローに命令されるが、要はふらふらとした足取りで、前に出る。
要には何が起こったのか理解が出来ない。だが、莉子が撃たれていた。
何故だ? 彼女が仮面の怪人だったからだ。
「やめて下さい……」
訴えるが、ヒーロー達に要に取り合う余裕などなかった。
前列のヒーロー達が斬りかかる。殴りかかる。襲いかかる。
「くはっ」
仮面の下から笑うような音。
莉子の触手は近付いてきたヒーローを薙ぎ、離れて攻撃する後列のヒーロー達にまで伸びていく。
「クソっ。情報よりずっと強いじゃないか……!」
前列のヒーロー達は、後列に襲いかかろうとする触手を防ぐ。
だが、瞬く間に隊列は崩壊した。
それだけ、仮面の怪人は強かった。
要には、ただ見ていることしか出来なかった。
「何してるんですか……?」
莉子の周囲に目には見えない禍々しい気配が収束していく。
目の前で、彼女が異形に変貌していく。
「つァア……!」
異形と化した莉子が奇声を上げ、触手を前につきだした。
たったそれだけのことで、幾人ものヒーローがなぎ倒される。
「は……? 嘘だろ……」
「嘘やないよ」
仮面の向こうから莉子の声がする。
「要くんはわたしを倒せる?」
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