テンキ――仮面ノ怪人ノ正体
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でいいよ。わたしは要くんにプロのヒーローになって欲しかったわけやないから」
「え? でも、僕をヒーローにするって……」
「ああ、それはプロのヒーローって意味じゃないよ。プロじゃなくたって、誰かのことは守れるし、誰かのヒーローにだってなれる」
「相変わらず莉子さんの言ってることは僕にはよく分かりません」
「分からんでもいいよ」
莉子が頷く。
「要くんは、わたしのヒーローやけん……。これからも、それでこれから先もずっと……」
思いを告げるように、莉子が言った。
それはどういう意味なのだろう。
そのことについて、要が問おうとした。
その時。
「ああ、時間切れか……」
莉子が失笑した。
「昨日さ、顔を見られた気はしてたんだよね……」
要には、その言葉の意味は分からない。
だが、聞き返すよりも早く
「――――」
鼓膜をつんざく爆発音が鳴り響いた。
爆発で道場のドアが弾け飛んだ。
「何だ!?」
そしてぶち破られたドアの向こうから、複数の足音が室内になだれ込んできた。
入り込んできたのは、各々個別のヒーロースーツに身を包んだヒーロー達だった。
「何ですか、あなた達!?」
突然のことに、要が身構える。
雪崩れ込んできたヒーローは、前面を近接で用いる武器を持ったヒーローで固め、後列に遠距離攻撃が可能なヒーローを配置する。
数は合計でおよそ二十人程度。
要は莉子を下げ、前に出た。
すると、後列に並んだヒーロー達が要に銃口を向けた。
「何のつもりですか……?」
勿論、要にヒーローに狙われるような覚えはない。
このまま撃たれたらひとたまりもないだろう。『変身』してやり過ごすかを考えて、背後に莉子がいることを思い出す。
自分だけ身を守るわけにはいかない。
「要兄さん!」
後列のヒーローから、声が上がった。
すぐに里里の声だと気が付く。
「里里さん、いるんですか?」
「今すぐそこから離れて!」
「うちの道場に何があったって言うんですか」
里里の声が聞こえても、要は緊張を解くことが出来なかった。
背後で要を狙う後列のヒーロー達から、今にも引き金を引いてしまいそうな雰囲気がひしひしと感じられたからだ。
「とりあえず、言うとおりにしましょう」
背後にいた莉子の手を取る。
「何やってるの兄さん! 早く!」
「ちょっと待って下さい。全然意味が分からない! どういうことか説明して下さい」
「だから――!」
里里が苛立たしげな声を上げる。
「要くん……師匠として最後に教えてあげられることがあった」
すると、背後の莉子が要の手を振り払った。
何やってるんですか。突然の訳がわからない展開に、要が苛立たしげな視線を莉子に向
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