シュラバ――莉子と里里
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のだろう。
だが、そんなものは無意味だ。要は自分の無力を知っている。
「それでも、あの状況じゃああするしかなかったんです」
里里が首を横にふる。
「兄さんは変身ができない。それでも……自分を特別だと思ってるんじゃないのかな? だから、いざとなったら自分が行くしかないなんて考えるんだよ」
「僕は、ヒーローにはなれませんでした。それでも、手の届く範囲にいる人を守れるぐらいには強くありたいんです」
「……そんなスッキリした顔で言わないでよ」
里里が変身を解く。衣装が元に戻り、握られていた小銃が消えた。
前のめりになっていた里里が、うなだれるように要の肩に手を乗せ、体重を掛けてくる。
「何にせよ、もうやっちゃダメ。どんな状況にせよ、次やったら……私が泣く」
「その脅迫はずるいですよ!」
女の涙の使いドコロを知っている相手は、厄介だ。
里里のカバンから聞き慣れない電子音が鳴った。
やけに大きな音でビービーと鳴る。
「呼び出しだ」
里里がカバンに飛びつき、中からPHSを漁った。
「はい、九重です。……分かりました三分で行きます」
耳に当てた電話に短くそう告げて、里里が顔を上げる。
「ごめん、行かないと」
要に短く告げて立ち上がる。
きっとヒーローとしての仕事がやって来たのだろう。
要は里里を見送った。
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