シュラバ――莉子と里里
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んだだけかと思いきや……兄さん」
里里が先程より厳しい目線を要に向けてきた。
「これはどういうことかな?」
「えっとですね……」
要はここに至るまでの経緯を説明した。
「成る程……幾子さんの紹介で……」
里里が唇に手を当てる。
「失礼ですが、緋山さん。あなた……お強いんですか?」
「ああ、腕は立ちますよ」
「兄さんより?」
「……」
要が少し考え込んでいると、莉子が代わりに答えた。
「どっちも本気やったら、要くんが勝ちますよ。そうじゃないと、困ります」
「そうですか」
里里が目を閉じる。
莉子の方に目を向けて、
「少し、うちの兄弟子と内々の話をさせて頂いてもいいですか?」
「あ、やったらわたしは外しますよー。ご飯食べに行こうと思ってたんで」
「助かります」
「はいー。また後でー」
莉子が立ち上がる。
手をひらひらと振りながら、要の家から退場した。
「しばらく帰らない内に訳が分からないことになっていて、まだ混乱してる……」
「はい……」
「とりあえず今日、兄さんのところに来た件から」
莉子を見送って、里里が要を前に姿勢を正す。
「兄さん、認定試験を受けたんだって?」
「ああ……はい」
「で。急に心変わりをしたのは、あの子が原因っと……」
「心変わりというか、まぁ……成り行きで」
「そっか。成り行きじゃあ仕方ないね」
里里の表情が少し柔らかくなる。
しかし、要は逆に緊張した。里里が笑顔で怒る人だと知っていたからだ。
「別にそのことについては良いよ。ヒーローの資格を持っていたからって、絶対にヒーローにならないといけないわけじゃないしね」
里里が続ける。
「でも、ヒーローにすらなれなかった兄さんが、怪人と戦ったってのはよくない」
里里の目が一層鋭くなった。
「さっき、ヒーローの本部で聞いたんだ。一般人が怪人を食い止めたって。その一般人が兄さんだって知った時は肝を冷やしたよ。これも成り行き?」
「まぁ、……成り行きです」
緊張しつつ要が答えると。「変身」即座に里里が変身した。
彼女の姿は一瞬でヒーロースーツに切り替わり、手には彼女の武器である二丁の小銃が握られる。
飛ぶように膝立ちになった里里が、要に小銃を向ける。
敵意を向けられ、反射的に要は銃身を殴って払いのけようとするが、変身後の彼女の腕力を前に、要の力では腕をビクとさせることもできなかった。
「成り行きで死ぬつもりなのかな?」
冷たい声で里里が言い放つ。
「分かって。変身しないと怪人には勝てないの。変身が出来ない兄さんは、絶対に怪人と戦っちゃダメ」
里里がこうして変身して襲いかかってきたのは、きっと要に力の差を思い知らせるつもりな
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