暁 〜小説投稿サイト〜
ウラギリモノの英雄譚
シュラバ――莉子と里里
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
んだだけかと思いきや……兄さん」
 里里が先程より厳しい目線を要に向けてきた。
「これはどういうことかな?」
「えっとですね……」
 要はここに至るまでの経緯を説明した。

「成る程……幾子(いくこ)さんの紹介で……」
 里里が唇に手を当てる。
「失礼ですが、緋山さん。あなた……お強いんですか?」
「ああ、腕は立ちますよ」
「兄さんより?」
「……」
 要が少し考え込んでいると、莉子が代わりに答えた。
「どっちも本気やったら、要くんが勝ちますよ。そうじゃないと、困ります」
「そうですか」
 里里が目を閉じる。
 莉子の方に目を向けて、
「少し、うちの兄弟子(あにでし)内々(うちうち)の話をさせて頂いてもいいですか?」
「あ、やったらわたしは外しますよー。ご飯食べに行こうと思ってたんで」
「助かります」
「はいー。また後でー」
 莉子が立ち上がる。
 手をひらひらと振りながら、要の家から退場した。

「しばらく帰らない内に訳が分からないことになっていて、まだ混乱してる……」
「はい……」
「とりあえず今日、兄さんのところに来た件から」
 莉子を見送って、里里が要を前に姿勢を正す。
「兄さん、認定試験を受けたんだって?」
「ああ……はい」
「で。急に心変わりをしたのは、あの子が原因っと……」
「心変わりというか、まぁ……成り行きで」
「そっか。成り行きじゃあ仕方ないね」
 里里の表情が少し柔らかくなる。
 しかし、要は逆に緊張した。里里が笑顔で怒る人だと知っていたからだ。

「別にそのことについては良いよ。ヒーローの資格を持っていたからって、絶対にヒーローにならないといけないわけじゃないしね」
 里里が続ける。
「でも、ヒーローにすらなれなかった兄さんが、怪人と戦ったってのはよくない」
 里里の目が一層鋭くなった。
「さっき、ヒーローの本部で聞いたんだ。一般人が怪人を食い止めたって。その一般人が兄さんだって知った時は肝を冷やしたよ。これも成り行き?」
「まぁ、……成り行きです」
 緊張しつつ要が答えると。「変身」即座に里里が変身した。
 彼女の姿は一瞬でヒーロースーツに切り替わり、手には彼女の武器である二丁の小銃が握られる。

 飛ぶように膝立ちになった里里が、要に小銃を向ける。
 敵意を向けられ、反射的に要は銃身を殴って払いのけようとするが、変身後の彼女の腕力を前に、要の力では腕をビクとさせることもできなかった。
「成り行きで死ぬつもりなのかな?」
 冷たい声で里里が言い放つ。

「分かって。変身しないと怪人には勝てないの。変身が出来ない兄さんは、絶対に怪人と戦っちゃダメ」
 里里がこうして変身して襲いかかってきたのは、きっと要に力の差を思い知らせるつもりな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ