オデカケ――英雄ノ休日
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っているはずだ。要はそのニュースが気になって携帯で検索を掛けまくっていた。
電車を降りるところで、朝、里里へ送っていたメッセージに『今起きた』と返信があり、要はほっと胸を撫で下ろしていた。
目的としていたショッピングモールに入ると、要と莉子はまず館内の映画館に向かった。
今日の外出の目的は、観たくもない映画を観る。
ずらりと文字列で並んだ上映中の作品名を見比べながら、何か面白い作品を探す。
「名前だけやと、どれが面白いんかも分からんね」
「正直、僕も映画とかあんまり観ないんでさっぱりです」
「とりあえず、これにせん?」
「良いですよ」
こうして莉子がテキトーに選んだ映画を観ることになった。
上映時間までモール内を歩きまわって時間を潰す。
婦人服売り場を冷やかしていると、休日の朝でまだ活気のある店員さんが、声を掛けてきた。
「えっ、嘘ぉ!? ええっ」
店員の話術に、見事にハマっている莉子。店員が服についての説明で何かを言う度に、オーバーリアクションで驚いている。
「要くん、ちょっと試着してきても構ん?」
「構いませんよ」
の、返事を待たずして、莉子は試着室に飛び込んだ。
横目に店員がチラチラとこちらを伺ってくる。
「ご姉弟ですか?」
「いえ、違います」
「彼女さん、美人ですねぇ」
常套句なのだろう。慣れない婦人服売り場に緊張している要が目をほとんど合わせないでいると、店員も黙りこんだ。
そして、試着室のカーテンが音を立ててシャット開き。
「どやぁー」
何故か特撮ヒーローの決めポーズみたいに、腕を斜めに掲げてポーズを取っている莉子が現れた。
服は、先ほど手にしていた白いワンピースに変わっている。
「わぁ、似合います可愛いですー」
「ホンマに?」
うわ、買ってしまおうかな。買ってしまおうかなぁ……。と、莉子が呟く。
チラチラと莉子がわざとらしい目線を飛ばしてくる。
あの目は、何か感想を求めているのだろう。
「彼氏さんもいかがですか?」
「…………」
要にはこういう時、どういうリアクションをしたら良いかわからない。
ので、正直に思ったことを述べることにした。
「莉子さんは肌が白いから、白い服を着てると死に装束みたいですね」
何言ってるんだこいつ、みたいな目で店員が要をガン見してきた。
「死に装束て……」
「そ、そそそんなことないですよ! 生地が厚手ですから! 冬っぽくてとっても……」
「はぁん、これ着てたら死ねそう?」
莉子が頬に手を添えて、ポッと赤くなった。
「はい、むしろもう死んでそうです」
正直な要の感想。勿論、誉めたつもりだ。
「やったら、買っちゃおっ。すいません、これ下さい」
なんだこの
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