サイシュウシケン――夢ノ結末
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本年度のヒーロー認定試験最終試験は、大串半島の先端に作られた野外劇場テアトロンで行われる。
瀬戸内の海を一望できるロケーションに、客席までもが白い石で作られた神殿の様なステージは、太陽の光を浴びて神々しく輝いていた。
ステージの奥には、受験者者達のための控室が作られている。今回の受験者は要を含め八人。要の試合は八番目だ。要の付添人として、莉子と正宗が付いて来てくれていた。
控室からほぼ満員の客席を見つめながら、「凄い人だなぁ」と正宗が呟く。
「プロのヒーローの戦いが観れる数少ないチャンスやけんね。最終試験の開催地はいつもちょっとしたお祭り騒ぎになるんよ」
「俺、こういうところ来るの初めてなんで、少し驚きました」
田舎育ちの正宗には、人混みという物が珍しかった。
「要、人の目なんか気にせず、落ち着いていけ。お前なら優勝出来るって」
「いや、正宗……これ、別に周囲と競う競技じゃないから」
「そうなのか?」
「うん、観てて……」
第一の受験者の試験が始まる。
控室から出た受験者と試験官が、ステージの上で向かい合う。
そして、両者同時に力を開放した。
「「変身――」」
大地の龍脈から溢れた光り輝く粒子、英気が両者の体を包む。
光は体にまとわりつき、この世で唯一無二のヒーロースーツの形を成す。
試験官は、若い女だった。濃青を基調としたヒーロースーツに身を包み、手には刃先の細い槍を携えている。
対する受験者は身の丈二メートルはあろう長身の男。グレーを基調にしたヒーロースーツに身を包んだ男は、手にしたライフルを試験官に向けた。
発砲音。男が迷わずに引き金を引いた。
飛来する銃弾を、試験官は簡単に避けてみせた。
狙いをそれた銃弾は真っ直ぐに観客席へ。
このまま進めば、客席の男に当たる。しかし、銃弾は見えない壁に阻まれ、客席に飛来することなく屑となってその場に落ちた。
「ステージ全体を見えないバリアみたいな物で覆っているから、まず客席に物が飛んで行くことはないよ」
「……にしても、凄い迫力だな」
説明を受けた正宗が息を呑む。
男は既に二発の弾丸を発砲していた。
その凄まじい破裂音が、石でできた客席に反射して、まるで耳元で銃を撃たれたかのような臨場感を以って迫力(を伝えてくる。
「元はコンサート会場として使われとる場所やけん、音がよく聞こえてくるんかなぁ?」
「ほんと、耳がおかしくなりそうだよ」
ステージの上では戦いは更に激しさを増していた。
男の遠距離攻撃に対し、距離を詰めた試験官の槍が渾身の突きを放つ。
男は銃身でそれを防いでみせたが、その後は反撃に転じるこ
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