サイシュウシケン――夢ノ結末
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とができずにジリ貧だった。
反撃も出来ないまま、数手の内に体制を崩され、槍を寸止めにされる。
「参りました……」
男の口から、降参が宣言される。
「おい、負けちまったぞ。じゃあ、あの人は不合格なのか?」
「いや、そもそもこの試験で試験官に勝てる受験者はごく少数だよ。試合の中で自身の有用性をアピールできればそれで良いんだ」
「彼は遠距離攻撃ができる個性やったし、多分合格やろうね」
「そうなのか……」
第一の受験者が控室に下がり、次の受験者の試験が始まる。
次、また次と、試験が進むごとに、要の口数も少なくなっていった。
そしてついに、要の順番がやってきた。
名前を呼ばれ、控室から出ようとしたところで、莉子が声を掛けてくる。
「緊張してる?」
「はい。……多分……」
「そっか。じゃあ、ここから見とるけん」
「余計プレッシャーかけてません?」
要がステージに上る。
白い石を並べられて作られたステージは、登ってみると思ったよりも大きい。
相手をするのは、最初の受験者を相手にしていた槍使いの若い女だ。
既に変身したままの姿で、槍を肩に乗せて楽な姿勢をとっている。
「緊張せずに、日頃の成果を存分に見せて下さいね」
ステージに上った要に、女はフレンドリーに声を掛けてきた。
「簡単に試験の説明をします。場外に足を着くかギブアップはその場で試合終了。一応何でもありだけど、これが試験であるということを忘れずに。それでは、変身したらいつでもどうぞ」
そう言って、女が槍を構えた。
女との距離を目で計る。
思いの外、要は冷静だった。
今日までの二週間、莉子が昼夜を問わず突然殴りかかってくる生活を続けていたせいかもしれない。突然差し迫ったこの戦いにも落ち着いて対応ができる。
ステージに上った瞬間から、要の神経は自然と目の前の相手を倒すことに集中していた。
女との距離はおよそ七歩。
ここまでの試合で、女が受験者の相手をしたのは三回。
この認定試験において、彼女は第一手で直情的な攻撃を行っている。
試合が開始すれば、まず一手。彼女は要に真っ直ぐに攻撃をぶつけてくるだろう。
そして彼女は変身すればいつでもいいと口にした。
つまり、要の変身が試合開始の合図となる。
(だったら――)
要が構えた。
「――変身」
大地から溢れる英気が要の身を包み、要は漆黒のヒーロースーツを身に纏った。
同時に、視界が黒く染まり始める。五感が消えようとしていた。
要は、即座に地面を蹴った。
試験官に対し、イノシシの様な猛進。
「このっ」
槍使いが矛先を要に向ける。
一切ガードをする素振りを見せない要に、相手は一瞬戸惑う素振りを見せた。だが
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