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ウラギリモノの英雄譚
クンレン――英雄ノ義務
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 この二週間、変わった練習をしていたわけでもない。
 ヒーロー認定試験の最終試験は、変身後の実践形式で行われる。変身すればまともに戦うことすら出来ない要が、試験に(のぞ)めるはずもなかった。
『要、僕はね。君がヒーローになろうとなるまいと、そんなことはどうでも良いんだ。だけど、君はヒーローを諦めると言いながら、一言だって「ヒーローになりたくない」とは言わなかった。それに、ヒーローにならない君が、鍛錬を続けて何になるつもりだい?』
「……」
『やらないぐらいなら、やって後悔する方が良いなんて言わないよ。後悔するぐらいなら、やらない方が良い。だけど、やらずにはいられないなら……見切りを付けておいで』
「見切りをつけろ……か」
 それが。
 長年、師と(あお)いできた母からの言葉だった。
 一か八かの挑戦をしろじゃない。見切りをつけろ。
 つまり……。
「どうあっても、僕は試験に合格することは出来ないんだね」
『そうだね。僕の目から見て、それは火を見るより明らかだ』
 淡々と、幾子は告げた。
『君ではどうやったって、最終試験に合格することは出来ないよ』
 それは、ヒーローになれないと言われているのと同義だった。
 分かっていたことだ。
 なのに、その言葉は、自分で言い聞かせていた時以上に、要の心に重く伸し掛かった。



「要くんー。組手……あれ?」
 電話の後、暫くしてから莉子が家にやって来た。
 玄関先で受話器を置いたまま動けなくなっていた要は、莉子を見て初めて現実に意識が戻った様に動き出した。
「顔色悪いよ、どうかしたん?」
「何でもありません」
 そう。何でもない。
 要は何も変わってはいない。
「試験は明日やけん、今日は練習お休みにしようか」
「いえ……ああ、あの……」
 そういえば、彼女は明日の試験のために、今日まで付き合ってくれていたんだったか。
 ならば彼女にはちゃんと伝えておかなければなるまい。
「僕は、試験を受けるつもりはありません……」
 要は言った。
 何度も口にしていたことだ。莉子は、驚くでも反対するでもなく、ただ大きな目で三回まばたきをして。
「どうして?」
 と、聞いてきた。
「最初から僕は、試験を受けるつもりはありませんでした。受けたところで、合格することなんて出来ないんだ……だったら」
「受けないほうが良い? ……変身したら、五感が無くなっちゃうから?」
 要は頷いた。
「体はもうボロボロだ。敵は強い。負けるってぐらいやったら、戦わん方がいいってこと?」
「……そうです」
「諦めるってことなん?」
「そうですよ」

 莉子が唇を結んだ。
「やってみんと分からんよ……」
「やらなくても分かります」
 莉子がうつむく。
「わたしが
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