6部分:第六章
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「誰だって。顔は一つじゃないから」
「そうだね」
そのことをあらためて認識する。認識してみればどうということはないがそれでも認識するまでに何かと思うものがる。例えそれが短い間であってもだ。そのことがよくわかった。
「じゃあまた来るからね。その時は宜しくね」
「ええ。ただ」
「わかってるって」
お弁当を途中で中断したままの由比だったがここでまた食べはじめた。そんな彼女を横目で見つつまた上を見る。そこには青い空が広がっている。
「いい天気だしさ」
「ええ」
食べながら啓太郎の言葉に応える。
「奇麗な写真が一杯撮れるね」
「そうね」
最後はそんな話だった。普段の厳しい由比は何処にもいなかった。だがそれがかえってよかった。ただ厳しくて生真面目なだけの彼女ではないとわかったから。啓太郎はそのことに心の中で微笑みながら会場の上に広がる青空を眺めていたのであった。少しずつだがその顔を明るいものにさせていく由比の横で。穏やかにその空を見上げていた。
コスプレイヤー 完
2008・3・3
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