ニチジョウ――ソシテ、3年ノ月日ガ流レタ
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が手を離す。両者起き上がり、一礼。
「あーっ。負けたー!」
里里が畳の上に転がった。
「何で勝てないんだよー。強いし強いし勝てないし! ちょっと手加減しろやい、要兄さんの鬼ィ!」
「手加減しましたよ。倒せる機会は三回。急所を打てるチャンスも幾度となく有りましたが、あえて見逃しました」
「手加減するなよ! 本気で勝負した私が傷つくだろォ!」
「どっちなんですか」
うだうだと押し問答の末。
未だに里里は納得行かない様子だったが、しばらく文句を垂れ流した後にムクリと起き上がった。
「それじゃあ、怪我を治しますよー」
「はいはい」
里里がフーっと息を吸う。
「――変身」
そう声を発した里里の体が、地面から溢れ出す光り輝く粒子――英気に包まれる。
里里にまとわりついた英気は、僅か一秒足らずで固定化し、ヒーロースーツの形を成した。
里里のヒーロースーツは、青を基調にしたワンピース型の衣装だ。両手には短銃を携え、目元には羽に似た形の飾りが施されている。
彼女曰く、この飾りには短銃の照準器の役割があるらしい。
「痛むところはありませんか?」
「あー……うん、問題ないみたい」
変身すると、傷の治りが早くなる。
紫雲の道場では、厳しい練習の中で傷を負うことも少なくなく、練習後にはこうして変身をすることが日課になっていた。
「ふぅ――」
傷が治ったところで里里が変身を解除する。
ヒーロースーツが霧散して、里里の衣装が元の柔道着に戻る。
里里の傷が治ったのを確認する。
要は氷嚢を取ってきて、額のたんこぶに当てた。
「ところで、いつまでこの組手続けるんですか?」
「私が要に勝つまでだってば。その暗に妹弟子を追いだそうとするのをやめてくれないかね、兄弟子」
「別に来てほしくないってわけじゃないんですけどね」
要がこんなことを言うのには、理由がある。
この紫雲家が保有する道場は、ヒーロー志願者達に格闘技を教え、ヒーローを養成するための道場だ。しかし、現在、紫雲家の道場は師範代である要の母が失踪して、ヒーローを養成するための道場としての機能を果たしていない。
更に言えば、里里は二年前にヒーロー認定試験に合格し、既にプロヒーローとしての資格を持っている。
誰の目から見ても、妹弟子の里里がここに来る必要は無かった。
「私は、本気の要より強くなりたいんだよ」
「だったら、もっと効率的な方法を探してみてはどうですか? 里里さんの武器は小銃ですし、格闘術の訓練よりも、銃を意識した戦い方について研鑽した方が良いのでは?」
「それは私の決めた道だよ。私は要と本気でやり合って、私が勝てるぐらいに強くなりたいの」
「強くなるだけなら、ここ
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