ターン39 鉄砲水と灼熱の傭兵
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いことを企んでいるわけではないし、やましいこともそんなにない。あえて理由をひねり出すとしたら、高校の教師と生徒の会話にしては妙に異質で重苦しいその2人の周りの空気に嫌な予感を感じた、といったところだろうか。周りには他に誰もいないことも相まってその会話が聞こえてきたが、断片的にしか聞こえなかったことも相まって今一つ要領を得なかった。ただどうも、遺跡がどうとか研究所がああだとか、しばらく監視がどうだとかそんな物騒な単語ばかり聞こえてくる。これは、少しあの2人は警戒した方がいいかもわからんね。少なくとも、何かしら裏の顔があるのだろう。そうこうしているうちにプロフェッサー・コブラが外に出ていき、しばらくそれを見送っていたオブライエンも踵を返す。そして僕が隠れている方を真っ直ぐ見て、有無を言わさぬ調子で話し出した。
「そろそろ出てきたらどうだ?その柱の陰にいるのはわかっている」
「う。や、やっほー」
隠れても無駄だろうし、下手に逃げたりして警戒されるよりはいっそ気軽に出ていく方がいい。そう判断して、できる限り友好的に姿を現す。次の瞬間には鋭い視線に射抜かれて、すぐに出てきたことを後悔した。
「この学校の生徒か……ここで何をしていた?正直に言え。それにその荷物、一体何を持っている?見せてみろ」
そう言って指差したのは、ずっと僕が右手に下げていたそこら辺の紙袋に詰めたマドレーヌ。集音マイクでも警戒しているのか、妙にピリピリした様子で奪い取ろうとする。そしてその動きを、多分僕に対する攻撃だと勘違いしたのだろう。
あっと思った時にはもう遅かった。いきなり出てきたシャーク・サッカーが一瞬だけ実体化して、軽くとはいえオブライエンの手に噛みついたのだ。そこまで痛くはないだろうけど、不意打ちとしては申し分のない威力だろう。
「………ッ!!」
急な苦痛に顔をしかめるも悲鳴を上げることなく、目にも止まらぬほどのスピードで手を引っ込めるオブライエン。気持ちは嬉しいけどサッカー、それは今やっちゃまずい。
「お前、今のは一体何を……!」
「ご、ごめんなさいごめんなさい!」
これ以上怒られる前に全力で謝る。だってこれ、どこからどう見ても悪いの完全に僕らだし。僕の精霊のミスなんだから、僕がその責任を負うべきだ。幸いにも根は悪い奴じゃないのか、その様子を見て若干毒気を抜かれたような表情になるオブライエン。元の落ち着いた態度に戻り、噛まれた手を一振りして話を戻した。
「ま、まあいい。今のは俺も強引だったかもしれないからな。だがいったい、本当にここで何をしていたんだ?」
「ああ、はいこれ。もう噛まないから大丈夫」
そこでようやく僕も本来の目的を思い出し、さっき強奪されそうだった紙袋を渡す。さすがに警戒した表情のオブライエンに
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