ターン39 鉄砲水と灼熱の傭兵
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のオーブンの火力で悠長にこのマドレーヌを焼いてたら完璧に遅刻すると踏んだ瞬間、ある罰当たりなアイデアが閃いた。素早くデッキを取り出し、その中から1枚のカードを引っ張り出す。念を込めてそのカードをかざし、神経の全てを精霊の呼び出しに集中させる。
「メタイオン先生、お願いします!これ焼くのに火貸してください!」
『………』
何も反応がないのでさすがに呆れられたかと思ったら、壁の向こうから半透明の金属製の腕がスッと1本伸び、その指先から炎が吹き出されてオーブンごと包み込む。その腕の根本を見ると、窓の外にどアップで大笑いする顔が1つ。僕に力を貸してくれる2体目の神様こと、時械神メタイオンは意外とノリがいいことが分かった瞬間だった。それにさすがは神様の火だ、ボロオーブンなんぞとは比べ物にならないほど熱く、かつ一瞬で消し炭にならないほどには力をセーブしてくれている。
……電気代もかかんないし、これから火の関係は全部この神様の火に任せようかな。っと、そんなこと言ってる場合じゃないんだった。さっさとこれ4つに分けて、遅刻する前に講堂に潜り込まないと。かなり分の悪い賭けだけど、それでもやらなきゃ無断欠席だ。
どうにか見とがめられることなく行動に潜り込み、気を利かせた万丈目が取っておいてくれた席に座れたのがそれから10分後。
「あ、危なかった……」
「清明先輩、俺たちでもかなりギリギリだったのによく間に合ったドン」
「えへへ、それほどでも。ところで剣山、なんで当たり前みたいな顔してレッド寮の席にいるの?」
「俺は寮なんかにはこだわらないんだドン」
「……あっそ」
さすがにこんな時ぐらいイエロー寮の位置に行かなきゃまずい気もするのは気のせいだろうか。でも先生達も何も言ってないなら、きっとそれでいいんだろう。こういうところはやけにアバウトな学校だ。在校中の学生が堂々と商売しても怒られないどころか先生まで買いにくる時点で今更といえば今更だけど。
とにかく始業式はつつがなく進み、軽い校長の演説の後に新入生を代表してのレイちゃんからの挨拶、と順調にスケジュールをこなしていった。そして最後に、もう1度校長から話が入る。きっとここで、転入生について詳しい説明が入るんだろう。一応生徒たちに正式な発表はまだない話だし。
「さて、ここで皆さんに重大な発表があります。今年は生徒たちのさらなる発展を願い、新しい生徒たちを受け入れることにした」
ここで言葉を切り、後ろのスクリーンに電源が点くと、なにやらそこに世界地図が表示された。
「デュエルの発展を願うアカデミアには、世界各地にその分校が存在する。今年はその主席の生徒たちを、我が学園に迎え入れることにしたのだ」
おっと、これは僕も知らなかった。でも分校の首席ってことは当然ノー
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