第十八話 プールですその十八
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「怖いって言われるのやっぱり嫌だし」
「はあ」
「それに私短気だし」
「そうなんですか!?」
それはないと思いますけれど。先輩は穏やかな方です。
「それはあまり」
「ちっちはそう思ってくれるのね」
「はい」
正直に答えました。先輩が怖いっていうのも短気っていうのも。けれど自分にしかわからないことってありますから。それを考えたら。
「有り難う。そう言ってもらえると嬉しいわ」
「ですか」
その時の先輩の横顔見てびっくりです。笑顔が凄く奇麗で。この笑顔で参るっていう男の人も多いんじゃないかしらとも思います。それを皆言わないんですよね。
「あとお風呂だけれど」
「お風呂が。何か」
「結構気をつけた方がいいみたいよ」
「気をつけてといいますと」
「覗きよ」
覗きのことを仰いました。
「いるかも知れないわよ」
「まさか」
それは流石にないんじゃないかしらって思いました。
「だって東寮って周りに何もないですよ」
「それはそうだけれどね」
「それでどうして」
有り得ないんじゃないかしらって思います。幾ら何でもそんな場所を覗くのは。
「それでもよ。狙っている人は狙ってるみたいよ」
「そうなんですか」
「だから着替え場やお風呂の中の窓はちゃんと閉めておきましょう」
「凄く暑いですね、それって」
「暑くても仕方ないわよ」
残念そうに項垂れた顔になられました。
「それはね」
「覗かれるよりは、ですか」
「そういうこと。それじゃあ」
「はい」
「笑顔でお風呂に入りましょう」
またお話がここに行きました。やっぱり笑顔が一番です。
「笑う門に福来たるってもいうしね」
「それに顔は表札、ですね」
「そうよ。だからね」
「わかりました。ただ」
「ただ。どうしたの?」
「いえ」
また先輩のお顔を見て。溜息です。
「先輩の表札って凄いですよね」
「私の?」
「凄い奇麗で。スカウトとかされました?」
「ええと。何度か」
やっぱり。高井先輩と同じでした。
「されたことはあるわよ」
「凄いですよ、それって」
「潤もそうだしね」
高井先輩の御名前です。
「けれど普通に神戸とか大阪とか歩いていたら誰でも声かからないの?」
「かからないですよ、そんなの」
冗談ではありません。それこそ先輩達位じゃないと。本当に三年の人達って奇麗な人が多くて。自宅生の人達も驚く位奇麗な人が一杯います。
「私なんて一度も」
「ちっちも凄くいい表札よ」
「そんな。私は」
「表札は自分では見えないものよ」
先輩は急にそんなことを仰いました。
「自分では見えないんですか」
「ええ。気付かない場所も多いしね」
「そうですか?鏡を見れば」
「鏡だけでは全部見えないわよ」
今度はこう
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