第二百三十六話 生きていた者達その十三
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「しかしそれは終わっておらずじゃ」
「それで、ですね」
「あの者達との戦もあるのじゃ」
「その魔界衆との」
「その戦がいよいよな」
「はじまるのですね」
「これよりな、先に百地三太夫の名を出したが」
「確か」86
帰蝶もその名を聞いて思い出したことがあった、そのことはというと。
「伊賀の」
「うむ、伊賀は二つの棟梁家があってな」
「一つは服部家、そして」
「もう一つがな」
「百地家でしたね」
「その百地家の主じゃ」
「そうなのですね」
「石川、楯岡、音羽もじゃ」
この三人もというのだ。
「十二家の一つじゃが」
「その三家もですか」
「伊賀の棟梁家じゃが」
「魔界衆だったのですか」
「そうだったのじゃ」
今明かされることだった。
「実はな」
「そうだったのですね」
「驚いたな」
「はい」
実際にだ、帰蝶の顔は強張っていた。その中での返事だった。
「それはです」
「そうだな、御主もな」
「伊賀の忍達は」
「服部家の流れは普通じゃが」
「百地家の流れは」
「魔界衆だったのじゃ」
そうだったというのである。
「あの者達はな」
「ではあの者達は」
「大和朝廷に敗れて伊賀に逃れた者達でじゃ」
「服部家とは全く別だったのですね」
「伊賀者でもな」
「それでお互いに交わることもなかったのですか」
「そうなのじゃ」
こう帰蝶に話すのだった。
「あの者達はな」
「では上様、これからは」
「伊賀を攻める」
湯漬けを食いつつまた言った信長だった。
「兵を整えてな」
「そうされますか」
「その話をする為にもな」
「大名の方々を安土に集め」
「話をする、魔界衆のこともな」
これからの敵である彼等のこともというのだ。
「話すとしよう」
「そうですか、本能寺のことを逃れて」
「戦じゃ」
「そしてその戦に勝てば」
「天下泰平が天下に来ることが出来る」
「そうなりますな」
「それではな」
ここで信長は湯漬けを食べ終えてだ、帰蝶に笑顔で言った。
「今は寝よう」
「それでは」
帰蝶も微笑んでだった、信長の言葉に頷いた。そのうえでこれから天下に泰平をもたらす最後の戦にかかるのだった。
第二百三十六話 完
2015・7・19
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